とんでもない本だった。 いや、トンデモ本ではない。すごい本というのとも違う。村上春樹の小説なんかに近い文体とテーマでもある。 総じて呆れた。こういうやつがいるんだなぁというか。 自分はタレブほどではないが、世界を変なふうに考えるのだけど、タレブのほうは筋金入りの変だった。 というか、これは、シリアの正教徒的というのか、とにかく私たちが現代社会普通に目にするタイプの知性ではなくて、古典の知性だ。ギリシア哲学とかに近い。 数学的にはというか、哲学的には、人口に膾炙された「ブラック・スワン」の問題というより、ベルカーブではないランダム性の持つ必然というあたりだろう。ということで、マンデルブロ的な安定分布の変異なのだろうが、つまり、それすらもわからないこともあるというのが世界認識の前提なわけか。 私はブラック-ショールズ方程式とか理解できないのだが、その前提がベルカーブだとしたら、それは必然的にブ