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ブックマーク / blog.goo.ne.jp/ikedanobuo (13)

  • 人権という迷信 - 池田信夫 blog

    きのうの記事がわかりにくかったようなので、少し補足しておこう。「基的人権」を信じる人にとっては、人権を売買するというのは許しがたい発想だろうが、そんな不可侵の重大な権利が「生まれながらに万人に等しく与えられている」というのは、根拠のない迷信である。そもそもこれは事実の記述なのか価値判断なのかも不明だ。 事実としては人が遺伝的に人権を持って生まれてこないことは明らかなので、これは「政府が人々に人権を与えるべきだ」という価値判断だろう。しかし生まれた瞬間に、すべての人に同じ権利を政府が賦与すべきだという根拠はどこにあるのだろうか。こうした自然権の概念の欠陥を最初に指摘したのは、エドマンド・バークである:私は、各個人が国家の運営において持つべき権限、権威、指揮などを文明社会内の人間の源的直接的な権利に数えることを拒否する。私の考察対象は文明社会の人間であって、これは慣習(conventio

  • 「大蔵省」の復活? - 池田信夫 blog

    麻生内閣の布陣でちょっと驚いたのは、中川昭一氏が財務相と金融担当相を兼務したことだ。麻生首相は記者会見で「金融問題が世界で関心を呼ぶ中、1人の方にやっていただいた方が機能的だと判断した」と説明し、「スタッフの統合もあるのか」との質問に、その可能性を否定しなかった。財政と金融の一体化は、彼の持論だそうだ。今年は大蔵省から金融監督庁(当時)が分離されて10年になるが、時計の針を戻して「大蔵省」を復活しようということだろうか。 たしかに「G7財務相・中央銀行総裁会合の参加国で、財務相が金融を所管していないのは日だけだ。来月のG7会合で金融問題を議論するためにも兼務したほうがいい」という首相の意見は一理ある。大蔵省の解体は、斉藤次郎事務次官が小沢一郎氏についたことに対する自民党の報復という意味合いが強かった。 「9月危機」の結果、ゴールドマンやモルガン・スタンレーも銀行持株会社になり、193

  • 資本主義という奇蹟 - 池田信夫 blog

    また磯崎さんからのTBをネタにして恐縮だが、「個が確立していない社会で市場経済をやるというのは、結構キツいんじゃないか?」という問題を、私もいま講義でテーマにしている。特に重要なのは、人類の所得が産業革命以後、わずか200年で1万倍以上になったのはなぜか、という謎だ。ちょうどその講義ノートを書いていたので流用すると、これには古来、多くの答があるが、私はこの資主義という奇蹟は、17〜8世紀のイギリスに一度だけ起こり、他の経済的に成功した国は、それを輸入したのだと思う。その要因として有名なのは資蓄積(Marx) 近代的個人の成立(Weber) 財産権の確立(North-Thomas) 法の支配(Hayek) 科学と技術の融合(Mokyr)こうした要因がすべてそろったことが近代西欧の成功の要因だったが、このうちどれを重視するかは人によって違う。かつて重視された1は、現在ではあまり問題

    mfluder
    mfluder 2008/07/11
    違和感
  • 匿名ウェブの終焉 - 池田信夫 blog

    Googleがテストを開始したWikipediaに似たサイト、knolが話題を呼んでいる。以前から書いているように、私は現在のWikipediaは「無法者の楽園」に堕していると思うので、競争が起こるのは歓迎だ。特に注目されるのは、このプロジェクトの責任者であるUdi Manber(技術担当副社長)が、knolのコンテンツが署名入りで書かれる点を強調していることだ:このプロジェクトの鍵となるアイディアは、著者を明記することである。でもニュースでも学術論文でも、著者がだれであるかは明記されているが、なぜかウェブは著者を明記する強力な標準なしで進化してきた。誰が書いたかを知ることは、読者が内容を判断する上で重要な助けになるとわれわれは信じる。匿名は、インターネットの原則ではない。初期には、E2Eの原則によってIPアドレスとユーザーは1対1に対応していたし、ネットニュースの投稿も署名入りが基

    mfluder
    mfluder 2007/12/15
    "はてなはIPOさえできない"
  • 官のシステム - 池田信夫 blog

    戦後改革で、日政治・経済システムはほとんど解体されたが、官僚機構だけは(軍と内務省を除いて)残った。それはマッカーサーが占領統治を円滑に進めるため、天皇と「天皇の官吏」だけは残そうと考えたためだ――と一般には考えられているが、実は官僚機構も解体される寸前だったのである。それを明らかにするのが、書の第1章に描かれた「職階法」をめぐる顛末だ。 これはGHQによって導入された米連邦政府などで採用されている人事制度で、公務員を職能ごとの「官職」で分類し、その職務の中で果たす「責任」を明示的に記述し、それに応じた「職級」に適合するかどうかの試験によって昇進させるものである。これはアメリカの大企業で一般的な「科学的人事管理」の手法を政府に導入し、政治任用にともなう猟官運動を抑止しようというものだった。 職階制は、1948年に施行された国家公務員法と1950年の職階法で規定されたが、当時の大蔵

  • SIMロックの解除は犯罪ではない - 池田信夫 blog

    以前のSIMロックについての記事には、当ブログ始まって以来のアクセスがあったが、今週あらたな展開があった。警視庁は、L&Kが「窃盗団の一味だ」という偽情報を毎日新聞に書かせたものの立件できず、陸社長だけが商標法違反と不正競争防止法違反の略式命令で罰金80万円、あとの社員は不起訴で、全員釈放されたのである。 その捜査の過程で、驚くべき事実が判明した。常岡浩介さんのブログによれば、捜査官は逮捕された陸社長に「おまえは自分がなぜ捕まったか分かっているか?SIM Lockを解除した携帯電話が出回ったりしたら、オレオレ詐欺が増えるじゃないか」と言ったそうだ。 もちろん、これは180度まちがっている。プリペイド携帯電話がオレオレ詐欺に使われるのは、その利用者が同定できないからだ。今回の場合には、端末をいくら変更してもSIMカードにアカウントが残るので、身元を隠す役には立たない。捜査官がどこでこうい

    mfluder
    mfluder 2006/09/14
    "今回の別件逮捕は、こうしたビジネスの現状も競争政策も知らなければ、初歩的な技術的知識もない捜査官の行った重大な人権侵害である"
  • 地上デジタル放送の行動経済学 - 池田信夫 blog

    小泉政権が終わるのを見込んで、またいろいろな補助金バラマキが出てきた。地上デジタル放送に100億円の補助金を出すのも、その一つだ。去年からこういう話はあったが、さすがに総選挙で自民党が「小さな政府」を唱えて圧勝した直後に、こういうものを出すことははばかられたのだろう。この意味で、小泉氏の功績は確かにあったし、それが元に戻り始めていることも確かだ。記事によると、アナログ方式の地上波テレビをデジタル方式(地デジ)に移行する際、山間部の難視聴地域で共同受信施設の改修などに多額の費用がかかることから、総務省は約50万世帯を対象に経費の一部を補助する制度を新設し、来年度予算の概算要求に盛り込むことを決めた。受信施設を隣の山などに移す必要がある約20万世帯については改修費がかかりすぎるとして、衛星放送などによる代替手段を模索する。奇妙なのは、20万世帯については衛星放送(CS)を使うのに、なぜ50万世

  • 毎日新聞的ポピュリズム - 池田信夫 blog

    貸金業規制法の改正案をめぐる議論が、大詰めを迎えている。けさの朝日新聞の1面トップの見出しは「貸金業金利 一部アップ」。え?と思って文を読むと、これは利息制限法(の一部)の上限のことだ。おまけに「後藤田政務官 抗議の辞意」と、金融庁の「業界保護」を指弾する論調である。日経は「貸金業規制、調整綱渡り」と比較的冷静だが、読売は社説で「『特例』容認で骨抜きにするな」と主張している。毎日の社説に至っては、こう主張する:貸金業界は上限金利が引き下げられれば、信用リスクの高い人は排除されてしまうと主張する。当だろうか。金利の引き下げは消費者にプラスである上、与党の基方針も求めている低所得世帯に対する金融小口融資や中小零細事業者に対するセーフティーネット貸し出しの強化を図れば、かなりの問題は解消できる。「当だろうか」と問いかけておきながら、「信用リスクの高い人が排除される」という主張には反論せず

  • 池田信夫 blog SIMロックの解除は犯罪か

    きのう警視庁は、携帯電話のSIMカードのロックを解除して売っていた業者L&Kの社長を、商標法違反と不正競争防止法違反などの容疑で逮捕した。気になるのは、メディアの扱いである。たとえばTBSは(おそらく警視庁のリークで)事前取材をした形跡があり、この商売をいかにもいかがわしいものとして描いている。テレビ朝日の「報道ステーション」でも、解説者が「こういう不正改造を許したら携帯電話業者のビジネスは成り立たない」とコメントしていた。 果たしてそうか。SIMカードは、もとはヨーロッパ統一規格のGSMで、一つの端末を各国で使うためにできたものだ。端末とSIMカード(携帯電話アカウント)を別に売っているので、一つのカードで複数の端末を使うこともできる。これによって端末とサービスがアンバンドルされ、両方の市場で競争が促進された結果、GSM端末の原価は日の携帯電話よりも一桁ぐらい安く、通話料金も日より

  • ウェブの先史時代 - 池田信夫 blog

    Web2.0の便乗が、たくさん出ている。たとえば神田敏晶『Web2.0でビジネスが変わる』(ソフトバンク新書)は、「Web2.0とはCGM(消費者生成メディア)のことである」と単純明快に断じ、CGMの例ばかりあげているお手軽なだが、これは間違いである。CGMは、いま初めて出てきたものではない。昔のGopherにしてもネットニュースにしても、インターネット上のサービスは、もとはすべて消費者の作ったものだったのである。こういうウェブの「先史時代」を知ることは、今後の進化を予測する上でも重要だ。 モザイクでウェブがデビューしたとき、それが他のサービスと違っていたのは、むしろそれまでに比べてマスメディアに近づいたことだった。当時ネットニュースは、今の2ちゃんねるのような無政府状態だった。それに対して、ブラウザは文字どおりbrowseするだけで書き込めないから、双方向性はないが、無政府状態にな

    mfluder
    mfluder 2006/08/06
    "Web2.0になってユーザーの力が強まったとか「総表現社会」が来たとかいうのは、錯覚である"
  • マルクスとロングテール(その2) - 池田信夫 blog

    最近は、当ブログにも「アルファブロガー」からのTBがつくようになった。きょうは私の「マルクスとロングテール」に関して、R30氏から「悪夢のロングテール考」という批判をもらった。 しかし、その論旨がよくわからない。まず確認しておかなければならないのは、第1に、元の記事で紹介したクリス・アンダースンによるマルクス(というかエンゲルス)の引用は、ロングテールについての議論ではなく、"The Long Tail"というの中の「生産手段の民主化」に関する議論だということである(タイトルがミスリーディングだった)。したがって、ロングテールの「オプション価値」についてのR30氏の議論は、私の記事とは無関係である(*)。 第2に、引用部分は私の主張ではなく、マルクス・エンゲルスの分業論である。私は「ロングテールによって人間がネット上で適当な情報生産を行う『自由な時間』だけで暮らしていける」と主張して

  • マルクスとロングテール - 池田信夫 blog

    ブログやWikiなどに代表される「イノベーションの民主化」の先には、どういう社会が見えてくるのだろうか。The Long Tail (p.62)によれば、それを最初に予告したのは、マルクスだったという。彼はエンゲルスとの共著『ドイツ・イデオロギー』で、未来のイメージを次のように描く(*):共産主義社会では、各人は排他的な活動領域というものをもたず、任意の諸部門で自分を磨くことができる。[・・・]朝は狩をし、午後は漁をし、夕方には家畜を追い、そして後には批判をする――猟師、漁夫、牧人あるいは批判家になることなく。(岩波文庫版、pp.66-7)マルクスは「分業と私的所有は同じことの表現である」と規定し、自然発生的な分業を止揚することを共産主義の目標とした。この一節は、若きマルクスのユートピア的な側面を示すものとして知られているが、実はこのモチーフは『資論』にも受け継がれている。自由の国は、

  • サイバー犯罪 - 池田信夫 blog

    今夜ののNHKスペシャル「テクノクライシス」で「サイバー犯罪」を扱っていた。もともとNHKの番組に最新情報を期待してはいないが、スパイウェアやフィッシングの解説から始まって、去年のクレジットカード情報の盗難事件を紹介したあと、番組のハイライトが、ロシアハッカーをFBIがおとり捜査で逮捕した5年前の事件というのは、話が古すぎるのではないか。これでは、私が昔つくった番組と変わらない。 日で「ハッカー」という言葉を(悪い意味で)定着させたのは、1985年のNHK特集「侵入者の夜」である。この番組は、NewsWeekの"The Night of the Hackers"という記事をモチーフにしたものだが、hackerという言葉をどう訳していいのかわからなかったので、番組では「ハッカー」とそのまま使い、タイトルでは「侵入者」と訳した。おかげで、日ではハッカー=犯罪者というイメージが定着してし

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