朝ドラの「カーネーション」が最終回で、みごとに終ってくれた。見ながら、本当に贅沢な作り方をするようになったものだと、今昔の感が深かった。最初は聞いても意味のわからない不思議なテーマソングが気になって、あまり好意的でなかったのだが、最後に主役の交代によって老齢を演じさせた演出は大当りだったと思う。ただし歌声は最後まで「よろこびうつせ日のため 心をさだめてるのね」としか聞こえなかったが。 「カーネーション」は、NHKの朝ドラ85作目のシリーズだったそうだが、第一作は「娘と私」で、昭和36年(1961年)の4月から翌年3月まで放送された。この「娘と私」の前半は、私が美術進行として担当したのでよく覚えている。入局して一年半たって、高卒の新人が入ったのを指導しながらだった。美術進行というのは不思議な職種で、大道具の建て込みから小道具の配置、衣装、かつら、履物から消費される飲食物まで、撮影に必要とされ