2022年1月下旬発行予定の新刊書籍、『コンピュータサイエンスにおける様相論理』のご紹介です。 同書の「まえがき」の一部を、発行に先駆けて公開します。 *** 〈 本書の目的 〉 様相論理とは、たとえば「真の可能性がある」「将来にわたってずっと偽」「それが真であることを花子は知っている」のように、単に真か偽かだけでなく状況に依存した真偽や複雑化された真偽概念を表現できる論理です。さまざまな動機から生まれたさまざまな様相論理がありますが、コンピュータサイエンスにおいてはCTL(computation tree logic)、様相ミュー計算(modal μ-calculus)、PDL(propositional dynamic logic)といった様相論理がよく研究されています。CTLは、たとえば「Aが起こればその後いつかはBが起こる」のような、時間とともに変化する真偽を細かく記述できるので、