大阪市をなくして東京23区のような特別区に再編する「大阪都構想」を巡り、大阪府と大阪市が進めてきた「改革」が、皮肉にも都構想の「効果」を薄れさせている。府と市は都構想の財政見通しを9日に公表したが、かつてあった「再編効果額」は示さなかった。都構想を看板政策に掲げる大阪維新の会は、ジレンマに陥っている。 大阪府と大阪市の二重行政の解消を狙う大阪都構想は、橋下徹市長時代の2015年5月に大阪市の住民投票で否決された。だが、維新は来年秋に再び都構想を住民投票にかけることをめざし、府と市で新たな具体案づくりを進めている。 9日、都構想を議論する府と市の法定協議会で「財政シミュレーション」が示された。特別区になった場合に、財政にどう影響するかを推計したものだ。 ただ、前回案で「役所の再編による効果額」として強調された「再編効果額」の項目は消えた。代わりに、維新の松井一郎知事と橋下前市長が府と市で始め