高野山真言宗の別格本山、八事山興正寺(名古屋市昭和区)の土地売却代を不正に流出させたとして、高野山側から背任容疑などの告訴状が出されていた前住職(70)らについて、名古屋地検特捜部は不起訴とした。29日付。地検は不起訴の理由を明らかにしていないが、高野山側が今月上旬に告訴状を取り下げたことが影響したとみられる。 捜査関係者によると、前住職は2014年に名古屋市のコンサルタント会社に約28億3千万円を貸し付け、寺に損害を与えたとする背任容疑が持たれていた。地検は昨年9月、寺事務所などを家宅捜索し、関係者を聴取していた。 前住職は在任中の12年、寺の所有地を138億円で中京大に売却。高野山側は、この半額ほどを前住職らが業務委託契約を装うなどして不正に使っていたと訴え、16年9月に告訴状を出していた。 高野山側と前住職側は住職の地位を巡って訴訟合戦になっていたが、今年5月に裁判外での和解で合意。