オウム真理教の元幹部ら残る死刑囚6人の刑が7月26日、執行された。平成を揺るがした事件は区切りを迎え、当時捜査の指揮を取った元主任検事は「事件の総括は難しいが、やるべきことはやった」と振り返る。ただ、元教祖、麻原彰晃(しょうこう)元死刑囚=執行時(63)、本名・松本智津夫(ちづお)=に帰依する信者は今も少なくなく、元教祖の遺骨が象徴化されかねない騒動も起こるなど、後継団体への監視の目は緩められそうもない。公安関係者は「破防法(破壊活動防止法)が適用されていれば解散できたのだが」と唇をかむ。国家転覆を図った武装集団になぜ事件当時、破防法が適用できなかったのか。(社会部 大竹直樹) オウムの犯行と直感 「オウムがサリンをまいた。ほかにない」。平成7年3月20日朝、東京地検刑事部本部係の主任検事だった伊藤鉄男元最高検次長検事(70)は執務室でテレビニュースの中継画面を見て直感した。地下鉄駅から次