日本の相対的貧困率は先進国で最悪の15.4%にまで悪化し、かつての「一億総中流社会」が崩壊し、「身分社会」に逆戻りしつつある。塾費・習い事代の高騰など、親の経済状態が子の将来を大きく左右する「ペアレントクラシー」の時代となり、「自己責任論」が通用しなくなっている。未婚率の上昇や離婚率の二極化など、結婚をめぐる問題は、日本社会の歪みを反映しており、「個人化」が進む中で新たな家族像の模索が必要とされている。 1970年代に生まれた「一億総中流社会」という言葉。大半の国民が中流の暮らしができているという概念だが、いまやその認識は崩れ去り、相対的貧困率は先進国の中で最悪だという。こうした社会の歪みが未婚社会として顕れていると指摘する書籍『パラサイト難婚社会』より一部抜粋し、日本が身分社会に変容していくさまを解説する。 ■未婚社会は「中流脱落恐怖」の化身 日本の結婚生活は、「不幸の共同体」に陥りかけ