2017/7/4 7:00 いとうやまね 日本のフィギュアスケート界に、矢野桂一という人物がいる。競技会、アイスショー共に、会場での全ての音に関わる仕事をしている。それだけではない。羽生結弦や宇野昌磨といったトップスケーターのプログラム音源の編集や、場合によっては一曲をゼロからまとめ上げることもある。選手たちの最も側にいて、「音」を通して演技を支える、その仕事や哲学に密着する。 文=いとうやまね 【後編】音響デザイナー・矢野桂一が語る、華麗なるアイスショーの舞台裏音響から音源編集まで©Getty Images あくまでも本業は会場での「音響(PA)」だという矢野桂一氏。フィギュアスケートに携わって30年以上、世界大会ともなれば一度に100組300曲以上ものプログラム曲を管理することになる。事前の調整や直前リハーサル、本番でのきめ細かな仕事に、関係者、特に選手やコーチたちに全幅の信頼を置か