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ブックマーク / tomio.hatenablog.com (6)

  • 万城目学氏、直木賞を受賞する - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    昨年、十二月二十一日のことである。 森見登美彦氏は、万城目学氏と、ヨーロッパ企画の上田誠氏との忘年会に参加した。年末の京都に清らかなおっさんたちが集う忘年会も、すでに六回目を数える。 「六回目といえば」 ということで、万城目氏が新作『八月の御所グラウンド』で六回目の直木賞候補になっているという話になった。 しかし万城目氏の顔つきは暗かった。 「どうせあかんねん」 「待ち会はしないんですか?」 「そんなもんせえへんわ。いつもどおりにしてる」 それはいかん、と登美彦氏は思った。度重なる落選にウンザリする気持ちはよく分かるが、直木賞はようするに「お祭り」なのであって、盛りあがらなければ損である。「待ち会」は落ちてからが番なのだ。落選したってええじゃないか! 「何をいじけてるんです。待ち会やりましょう!」 「なんでやねん!」 「やるなら東京まで行きますって」 「あ、それなら僕も行きます」と上田氏

    万城目学氏、直木賞を受賞する - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
  • 森見登美彦氏、京都市芸術新人賞をもらう - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    森見登美彦氏は「京都市芸術新人賞」をもらうことになった。 京都市芸術新人賞については下記をごらんください。 https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000279484.html 「京都市では,市出身者又は市内において活発な文化芸術活動を行い,全国的にも評価を高め,将来を嘱望される方々に『京都市芸術新人賞』を,また,同じく京都市内で活動を行い,新人の育成又は芸術に係る活動環境の向上に多大の功労があった方々に『京都市芸術振興賞』を授与し,その功績を称えています。」 上記のページの下の方には「被表彰者功績調書」という書類があって、ほかの受賞者のみなさん、そして登美彦氏の調書がある。覗いてみると面白い。これを読んでいたら、なんだか自分が華々しくグローバルに活躍しているような気持ちになって、登美彦氏はとても嬉しかった。ありがとうございます。 関係者の皆

    森見登美彦氏、京都市芸術新人賞をもらう - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
  • 森見登美彦氏、直木賞に敗北する。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    熱帯 作者: 森見登美彦 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2018/11/16 メディア: 単行 この商品を含むブログ (3件) を見る 昨年のクリスマス・イブのことである。 万城目学氏が京都へやってくるというので、劇団ヨーロッパ企画の上田誠氏も交えて忘年会をすることになった。たしか一昨年の聖夜も、この三人のおっさんたちで清らかな京都の夜をさまよった。ひょっとして、これから死ぬまで聖夜はこのメンバーで過ごすことになるのだろうか……。 ともあれ、万城目学氏が京都へ来るというなら、知らんぷりはできない。 そういうわけで、世にも清らかなおっさんたちは京都市内で落ち合うと、タイ料理店で皿いっぱいのパクチーをもぐもぐ頬張り、次に立ち寄った小料理屋で「我々は文士である」と主張したところ「は?」と問い返されて恥じ入ったりしつつ、花見小路のそばにある静かな酒場へと流れつく頃にはすっかり夜も更けて

    森見登美彦氏、直木賞に敗北する。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
  • 『太陽と乙女』(新潮社) - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    森見登美彦氏は「エッセイ」をあまり書かない。 そもそもエッセイに何を書けばいいのか分からないのである。 自分の主張を書くべきだろうか。 しかし、わざわざ書くべき主張がない。 ならば体験を書けばいいのか。 しかし、わざわざ書くべき体験がない。 ならば妄想を書けばいいのか。 しかし、それでは小説になってしまう。 そういうわけで「エッセイって何?」と登美彦氏は毎度毎度苦悩しつつ、自分や世間を欺きながら「エッセイ風」のものを書いてきた。できるだけ書かないようにしているものの、2003年にデビューして早14年、塵も積もれば山となる。集めてみたら意外にある。 「一冊にまとめたら『エッセイ』の書き方が分かるかも」 さらに登美彦氏は軽い気持ちで言った。 「せっかくだから小説以外の文章をぜんぶ集めよう」 「承知しました」 そう言って担当編集者は魔法の杖を振った。 すると400頁を超える巨大闇鍋みたいながで

    『太陽と乙女』(新潮社) - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
  • 森見登美彦氏、直木賞に敗北する。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    昨日、森見登美彦氏は京都駅の新幹線ホームに立っていた。 ボーッとしていると、声をかけてくる人があった。 誰かと思えば上まなみさんだった。 登美彦氏は驚いて「うわ!」と言った。 上さんは笑っていた。 「これから東京ですか?」 「今日は直木賞の選考会でして……」 登美彦氏が言うと、上さんは「ああ!」と察してくれた。 それにしても新幹線で上さんと偶然会うなんて初めてのことである。 「これが直木賞のチカラか!」 登美彦氏はそう思ったのである。 待ち会は文京区某所の某中華料理店の二階で開かれた。 まるで親戚の家みたいな心地よいところである。 やがて五時を過ぎると国会図書館の元同僚や各社の担当編集者の方々が集まってきて、みんなで美味しい中華料理べた。聞くところによると冲方丁さんもどこかで待ち会をしているらしい。どんなところでやっているのだろうか、冲方さんも同じ緊張感を味わっているのかな、な

    森見登美彦氏、直木賞に敗北する。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    minesweeper96
    minesweeper96 2017/01/23
    最高
  • フジモトマサル氏 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    フジモトマサル氏が亡くなった。 かつて森見登美彦氏が雑誌で「有頂天家族」を連載したとき、初回の挿絵を担当したのがフジモトマサル氏だった。 狸小説がきっかけで出会ったのだから、数年後に「聖なる怠け者の冒険」というぽんぽこ小説を朝日新聞夕刊に連載するにあたって、氏に挿絵をお願いしたのは当然のなりゆきであろう。しかし予想外だったのは、原稿が凄まじく難航したことである。無謀な綱渡り新聞連載にフジモト氏を巻きこんだことを幾度も申し訳なく思ってきたし、このたびの訃報に接して登美彦氏はまた同じことを思う。 悪戦苦闘の末、ようやく『聖なる怠け者の冒険』が出版されたとき、フジモト氏の『聖なる怠け者の冒険 挿絵集』もまた一緒に出版された。それが登美彦氏は当に嬉しかった。『挿絵集』は凝りに凝った作りのオモシロ美しいで、挿絵の一点一点にフジモト氏のコメントがついている。昨夜、登美彦氏はもう一度その挿絵集を読み

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