ベルカ、吠えないのか? スポンサード リンク ・ベルカ、吠えないのか? 2005年度出版の一般小説ではベストだと思う。 1943年、第二次世界大戦下のアリューシャン列島。撤退する日本軍によって、4頭の軍用犬が置き去りにされた。数奇な運命によって海を渡り、世界へ散らばる血統は、人間の歴史に翻弄されながら、人間の歴史を逆に翻弄することにもなる。偉大なイヌの歴史を縦糸に、人間の歴史を横糸に、半世紀に渡る壮大な現代史のタペストリがそこに浮かび上がる。 世界史を総括する大河小説でありながら、テンポのよい筆致で、高い娯楽性もそなえた一大傑作である。鬼気迫る勢いの文体。執筆中、著者は何かに取り憑かれていたのではないか。見事なまでに魂のこもった語り、鬼気迫っているというのがふさわしい形容だろう。 古川日出男という作家の作品はこれが初めてだった。他の作品を知らないのだが、この一冊は世界的に通用する普遍の文学