待機児童問題に焦点が当たる中、なぜか違和感が拭えない。国会前などで声を上げるのは多くが女性。政府は「働くお母さんの気持ちを受け止める」と繰り返す。この冬訪れたノルウェーでは誰もが言った。「家族政策は女性だけにフォーカスしてはならない」と。子育てを女性の問題にしていいのか。保育園を増やせば解決となるのだろうか。【宇田川恵】 氷点下の朝、雪の上に座り、ゴソゴソ動いている男の子が気になって、傍らにかがみ込んでみた。ノルウェー北部にある北極圏の街トロムソのブッケスプランゲ保育園。男の子はまだしゃべることもできないほど幼い。私の顔を見るなり右手を差し出す。ミトンにうまく親指が入らない、と訴えているのだ。 この記事は有料記事です。 残り2405文字(全文2706文字)