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ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (11)

  • リバタリアンが集まる町を作ったら、そこは熊の巣窟になった──『リバタリアンが社会実験してみた町の話:自由至上主義者のユートピアは実現できたのか』 - 基本読書

    リバタリアンが社会実験してみた町の話:自由至上主義者のユートピアは実現できたのか 作者:マシュー・ホンゴルツ・ヘトリング原書房Amazon はじめに どのように人々は集まってきたのか? 自由な町にヤバいやつらが集まってくる。 リバタリアンらは町を良い方向に変えたのか? おわりに はじめに 他者の身体や私的財産を侵害しない限り、各人が望むすべての行動は自由であると主張する、リバタリアンと呼ばれる人たちがいる。すべてを自由にすべきと考える原理的な人から、条件的に制約を認める人まで無数の思想的内実があるわけだが、そうした思想を持つ人々にとっては多くの国家・地域は制約だらけにみえるだろう。 自分たちの思想を社会に反映させるためには、民主主義の場合にはリバタリアン的思想を持つ候補者に票を投じたり、自分自身が立候補して国の方針を地道に変えていかなければいけないわけだが、それは当然ながらなかなかに大変な

    リバタリアンが集まる町を作ったら、そこは熊の巣窟になった──『リバタリアンが社会実験してみた町の話:自由至上主義者のユートピアは実現できたのか』 - 基本読書
    miruna
    miruna 2022/02/27
  • 脳に性差はあるのか?──『ジェンダーと脳──性別を超える脳の多様性』 - 基本読書

    ジェンダーと脳――性別を超える脳の多様性 作者:ダフナ・ジョエル,ルバ・ヴィハンスキ紀伊國屋書店Amazonこの『ジェンダーと脳』は、よく言われる「男女で脳に性差はあるのか?」というテーマに、神経科学者であるダフナ・ジョエルが向き合った一冊である。 先に結論だけ書いておくと、性差は間違いなくある。たとえば、男性と女性で脳全体の大きさに差があるし、視床下部の中継核の大きさだとか、脳領域の各所や、神経伝達物質にも性差は存在する。ただ、注意しておきたいのは、その差は何十、何百といった脳の平均の差であるということだ。たとえば、男性の方が平均としては大きいとされる脳領域であったとしても、女性で男性の平均を超えているケースもあれば、男性で女性の平均に近いケースもあり、多くの女性と男性の脳は重なり合っている。 つまり、大半の女性と男性では大きさが変わらないのだ。あるいは、その特定の領域は一部の女性で大き

    脳に性差はあるのか?──『ジェンダーと脳──性別を超える脳の多様性』 - 基本読書
    miruna
    miruna 2021/09/07
    別の本では猿の赤ちゃんにすら好む玩具において性差があると書いてあったけど
  • 新しいテクノロジーを前に、我々はどのように「会話」すべきか?『あなたが消された未来――テクノロジーと優生思想の売り込みについて』 - 基本読書

    あなたが消された未来――テクノロジーと優生思想の売り込みについて 作者:ジョージ・エストライクみすず書房Amazon生物は遺伝子によってある程度その姿かたちや能力が決定付けられているが、近年のバイオテクノロジーの進歩によって我々はその「生まれ持ったもの」への介入が可能になりつつある。また、遺伝子改変といった大掛かりなものでなくとも、解析が進み、出生前であってもいくつかの病気はかなりの精度で判別できるようになった。 子供の障害の有無を判別することができれば、産む前に中絶するかどうかを選択することができる。たとえば、新型出生前診断(NIPT)は、採血でダウン症などの先天性疾患を判別できるとして広まっている。日でも2013年の導入以降、NIPTを利用する人は増え、陽性が確定したうちの9割が中絶に踏み切っているという(中絶率は国ごとに異なり、アメリカでは陽性者にカウンセリングや染色体異常のある赤

    新しいテクノロジーを前に、我々はどのように「会話」すべきか?『あなたが消された未来――テクノロジーと優生思想の売り込みについて』 - 基本読書
    miruna
    miruna 2021/05/28
    発達障害者の怨嗟で溢れているwebでこんなこと書けてしまうの邪悪すぎてヤバい。障害者は自分で選んで障害者として生まれてくるのではなく親のエゴと性欲の産物で生を押し付けられてるだけなのに。
  • 罪を犯した人間をただ投獄するのは、正しいか──『囚われし者たちの国──世界の刑務所に正義を訪ねて』 - 基本読書

    囚われし者たちの国──世界の刑務所に正義を訪ねて 作者:バズ・ドライシンガー発売日: 2020/12/25メディア: 単行(ソフトカバー)この『囚われし者たちの国』は、刑事司法教育を教える大学ジョン・ジェイ・カレッジ・オブ・クリミナル・ジャスティスの女性教授であるバズ・ドライシンガーが9カ国の刑務所をまわって、今あるべき刑務所、許し、罪と罰の関係性について思考をめぐらせるルポタージュである。日にいると法律に違反したら(執行猶予はあるけど)投獄されて自由を制限されるのは当たり前でしょ、と思うが、世界を見渡してみると刑務所も罪の償い方も千差万別であり、何が正しいのかわからなくなってしまう。 書の著者は、出発点はアメリカの刑務所の実態のひどさから、刑務所についての疑問がスタートしている。アメリカが世界人口で占める割合は5%弱なのに、囚人が収容されている人数は230万人、世界の25%に達する

    罪を犯した人間をただ投獄するのは、正しいか──『囚われし者たちの国──世界の刑務所に正義を訪ねて』 - 基本読書
    miruna
    miruna 2021/01/02
  • 2020年に刊行され、おもしろかったノンフィクションを振り返る - 基本読書

    2020年ももうすぐ終わるので、読んでおもしろかったノンフィクションを振り返っていこうかと。今年はまるっとの雑誌でノンフィクションの新刊ガイドを担当しており、例年よりもたくさん読んだような、あまり変わらないような。とはいえ、おもしろいノンフィクションには山ほど出会ったので、思い出しながら書いていく。 まずは科学系から! LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界 作者:デビッド・A・シンクレア,マシュー・D・ラプラント発売日: 2020/09/01メディア: Kindle版科学系のノンフィクションの中で最もおもしろかったのはなにかといえば、デビッド・A・シンクレア、マシュー・D・ラプラントによる『LIFESPAN 老いなき世界』になる。シンクレアは老化の原因と若返りの方法に関する世界的な権威で、老化は克服できる病であり、克服すべきだ、とこのの中で強烈に主張している。ほとんどすべての

    2020年に刊行され、おもしろかったノンフィクションを振り返る - 基本読書
    miruna
    miruna 2020/12/18
  • 複雑な人間関係・時代関係がカタルシスへと直結していく、尖りすぎた近年最高峰のSFアドベンチャーゲーム!!──『十三機兵防衛圏』 - 基本読書

    十三機兵防衛圏 - PS4 作者:出版社/メーカー: アトラス発売日: 2019/11/28メディア: Video Gameいやはやこれは当におもしろい、今年最高のゲームだった。『オーディンスフィア』などで知られるヴァニラウェア✗アトラスの新作だが、タイトルからもわかるように作はいわゆるロボットゲームである。ゲームパートはRTSのタワーディフェンス型の仕組みが採用されていて、こちらも大変におもしろい内容に仕上がっているのだけれども、特筆したいのは、アドベンチャーパートのシナリオに各種演出だ! 物語冒頭、怪獣の侵攻によって街が破壊されつつあり、人々が逃げ惑う中一人の女子高生が太ももをすっとなでる/さらう動作をすることで、STARTの文字が浮かび上がり、街中の歩道橋越しに巨大な人型ロボットが、ばりばりばりという時空の歪みのあとに突如出現するという一連のシークエンスでぞっこん惚れ込んでしまっ

    複雑な人間関係・時代関係がカタルシスへと直結していく、尖りすぎた近年最高峰のSFアドベンチャーゲーム!!──『十三機兵防衛圏』 - 基本読書
    miruna
    miruna 2019/12/31
  • 大規模な犯罪組織と化したFIFA──『レッドカード 汚職のワールドカップ』 - 基本読書

    大金動くところに賄賂あり。『レッドカード 汚職のワールドカップ』は、FIFAワールドカップを主催する国際サッカー連盟で行われていた、めくるめく賄賂、途方もない額のマネーロンダリングについて描かれた一冊である。2015年にはアメリカFBIの要請を受け、スイスの司法局によってFIFA幹部の多くが逮捕されている。この事件を端緒として、FIFA真っ黒じゃん! と世界中の国の検察が捜査をはじめ、次々とワールドカップの裏側で行われていた悪事が暴かれていくことになるのだ。 ワールドカップのように放送権、広告権が巨額で扱われる世界ではその利益を享受するために賄賂は合理的な手段となりえる。ゆえにワールドカップを運営する組織が賄賂まみれになることそれ自体に不思議はないわけだけれども、書で明かされていく悪事は僕の予想を10倍ぐらいは超えてくるものだった。賄賂の金額のあまりの大きさ、賄賂の大胆さもおもしろいのだ

    大規模な犯罪組織と化したFIFA──『レッドカード 汚職のワールドカップ』 - 基本読書
    miruna
    miruna 2018/07/14
  • 古橋秀之による一切ハズレ無しの極上のSFショートショート集──『百万光年のちょっと先』 - 基本読書

    百万光年のちょっと先 (JUMP j BOOKS) 作者: 古橋秀之,矢吹健太明出版社/メーカー: 集英社発売日: 2018/02/02メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る今は亡きSF雑誌であるSFJapanに最後まで連載されていた古橋秀之によるSFショートショート集がついに単行としてまとまって刊行された──と、まるで元から知っていたかのように紹介しているが僕はSFJapanはほぼ読んだことがなくこの作品のことも知らなかった。が──、読んでみればこれがもう神がかり的におもしろい。 プロローグとエピローグを合わせて計50篇、そのどれもで独立した設定・キャラクタを立ち上げ、奇妙な話から物凄いバカ話、ハードSFちっくな話から昔話のSF風アレンジまで格的なSFショートショートがこれでもかと詰め込まれている。もともと古橋秀之さんは傑作『ある日、爆弾がおちてきて』を筆頭に、

    古橋秀之による一切ハズレ無しの極上のSFショートショート集──『百万光年のちょっと先』 - 基本読書
    miruna
    miruna 2018/02/12
  • 人の意識を機械に移植できるのか──『脳の意識 機械の意識 - 脳神経科学の挑戦』 - 基本読書

    脳の意識 機械の意識 - 脳神経科学の挑戦 (中公新書) 作者: 渡辺正峰出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2017/11/18メディア: 新書この商品を含むブログ (2件) を見る人の意識は機械に移植できるのだろうか。 SFなどではおなじみのテーマだけれども、現実的にはまだまだぜんぜん無理だ。でも、その可能性を検討することはできる。果たしてどうやって意識を移植するのか? そもそも移植すべき意識は脳のどこに、どんな過程で宿るものなのか? 仮に意識の領域、発生プロセスが確定したとして、それを移植したとして、どうやったら「機械への意識の移植が成功した」と確認をとることができるのだろうか? 書『脳の意識 機械の意識 - 脳神経科学の挑戦』はそんな脳の意識をめぐる脳神経科学の歴史と成果、それとちょっとばかりの飛躍として、機械の意識について語られた一冊である。これがまあ、基礎的な脳神経科学

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    miruna
    miruna 2017/12/17
  • 魔術世界×プログラマ×中東──『無限の書』 - 基本読書

    無限の書 (創元海外SF叢書) 作者: G・ウィロー・ウィルソン,引地渉,鍛治靖子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2017/02/27メディア: 単行この商品を含むブログ (3件) を見る飛び抜けた海外SFが現れたものだ。世界幻想文学大賞を受賞した書は、中東の専制国家である〈シティ〉を舞台として、若きプログラマが世界を変えうる力を持つ書を手に入れてしまい、大きな騒動に巻き込まれていくSFファンタジィである。 中東を舞台にしたSF 中東を舞台にしたSFは珍しく、まずそれがおもしろい。 中東での女性の地位の低さの問題。宗教的なものから風刺的なものまで徹底的なネットへの監視体制を敷くことができる検閲局の技術力と、まともな郵便システムさえも整っていない伝統と革新がごた混ぜになった状況。血縁をめぐる問題、西洋への意識──などなど、中東でなければ出てこない問題意識がてんこ盛りで、それが見事

    魔術世界×プログラマ×中東──『無限の書』 - 基本読書
    miruna
    miruna 2017/03/06
  • 世界変革の双子──『アルファ/オメガ』 - 基本読書

    アルファ/オメガ (ハヤカワ文庫 SF ヘ 11-1) 作者: フランチェスカヘイグ,水越真麻出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/09/08メディア: 文庫この商品を含むブログを見る書『アルファ/オメガ』はフランチェスカ・ヘイグというオーストラリア生まれで今は英国のチェスター大学で研究員として働く新人作家(ただし元々は詩作や短篇小説で活躍していた)の初長篇作品。英語圏ヤングアダルト領域で雨後のたけのこのごとく出ている世界崩壊後を描いたディストピア物、しかも三部作と不安をあおる内容でありながらその構造も文章もがっちり決まっていて何よりその設定が(かなり無茶ではあるのだが)面白い。なのでまずは設定の話から始めよう。 世界設定について 核戦争で荒廃し文明が弓矢で闘争レベルにまで退化した400年後の地球が舞台──というところまでは「ありきたりすぎるぐらいにありきたり」な世界崩壊後SF

    世界変革の双子──『アルファ/オメガ』 - 基本読書
    miruna
    miruna 2015/09/17
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