温又柔『台湾生まれ 日本語育ち』を読んだ流れで、複数の言語を使って文章を書いている作家への興味が再燃してきたので、購入して読んでみた。 ジュンパ・ラヒリの場合は、両親の言語はベンガル語で、社会的には英語を話し、また英語によって作家としての名声を得ており、自分から進んでイタリア語を習得してローマへ移住までしている。複数の言語を使う作家には、20世紀の典型的なパターンだと亡命があるが、ラヒリの場合は止むに止まれぬ衝動によって、自らイタリア語を選んだということになる。彼女はそれを、「亡命」という言葉からも疎外されていると書いている。 複数言語を使わざるを得なくなった原因は、それはそれでそれぞれに興味深いのだけど、単純に複数の言語を使うことによる感覚の変化に興味がある。この本ではその「変化」が、アポロに追い回された挙句に月桂樹となってしまったダフネや、蝶の変態のような比喩などを用いて様々に語られる
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