すべての木は挫折した愛の化身だ…。「危険で正常でない愛」をテーマに、女性と男性の間の問題だけでなく、人間と人間、自我と他者、自我と世界の間の問題を描く、韓国作家の長篇邦訳… 植物たちの私生活 [著]李承雨 すでに世界各国に読者を持つ韓国の作家・李承雨のこの長編小説は、荒々しい暴力で始まって性をめぐり、かなわぬ愛を高らかに謳(うた)い、ひとつの平凡な家族がそれぞれに抱えていた特異な過去を明らかにしながら結末に突き進む。 一度読み始めたら止まらないのではないか。読者は常に主人公とともに新しい出来事に直面し、とまどい、立ち尽くし、わずかな時間のずれをともないながら事態への認識と理解を深めるだろう(例えば、意外な事柄のほんの少し前に印象的な伏線があったり、主人公が読者よりわずか先に何かに気づいたりする)。 この“時間のずれ”の抑制が李承雨の語りの巧みさで、読者は誘導に気づかないまま、自分だけが真実
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