ブックマーク / book.asahi.com (64)

  • 北村紗衣さん「お砂糖とスパイスと爆発的な何か」インタビュー 目からうろこのフェミニスト批評集|好書好日

    文:篠原諄也 写真:斉藤順子 北村紗衣(きたむら・さえ)武蔵大学人文学部英語英米文化学科准教授 1983年、北海道士別市生まれ。専門はシェイクスピア、フェミニスト批評、舞台芸術史。東京大学の表象文化論にて学士号・修士号を取得後、2013年にキングズ・カレッジ・ロンドンにて博士号取得。著書に『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち──近世の観劇と読書』 (白水社、2018)、訳書にキャトリン・モラン『女になる方法──ロックンロールな13歳のフェミニスト成長記』(青土社、2018)など。 傑作とされる古典がつまらなかった ――フェミニスト批評とは何でしょう? フェミニスト批評はこれまでの批評が実は男子文化だったことに立脚しています。つまり、批評の歴史を振り返ると、男性中心的な社会の中で、男性向けに作られたものを男性の視点で読む。それが普遍的な解釈だとされてきました。 日の近代文学もそうで、たとえ

    北村紗衣さん「お砂糖とスパイスと爆発的な何か」インタビュー 目からうろこのフェミニスト批評集|好書好日
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    mitsuba3 2019/07/30
  • 本屋は気軽に始められる ソウルと台北を訪ね歩いた内沼晋太郎さん、綾女欣伸さん「本の未来を探す旅」|好書好日

    文:永井美帆、写真:斉藤順子 内沼晋太郎(うちぬま・しんたろう) ブック・コーディネーター、クリエイティブ・ディレクター。1980年6月20日生まれ。NUMABOOKS代表、ビールが飲める東京・下北沢の「屋B&B」を共同経営。著書に『これからの屋読』『の逆襲』など。公式twitter 綾女欣伸(あやめ・よしのぶ) 朝日出版社で編集職。1977年11月8日生まれ。これまでに『の逆襲』、『ヒップな生活革命』(佐久間裕美子著)、『紋切型社会』(武田砂鉄著)、『神様の住所』(九螺ささら著)などを担当。公式twitter 未経験でもとりあえずやってみる ――2017年6月に出版されたシリーズ1冊目『の未来を探す旅 ソウル』には、詩集の専門書店を開いた若い詩人や、内沼さんがつくった「屋B&B」に刺激を受け、ビールが飲める屋を始めた姉妹など、ユニークな24人が出てきます。ソウルの独立書店

    本屋は気軽に始められる ソウルと台北を訪ね歩いた内沼晋太郎さん、綾女欣伸さん「本の未来を探す旅」|好書好日
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    mitsuba3 2019/07/02
  • 甘い破滅へ誘う大叙事詩 ゲーテ「ファウスト」|好書好日

    桜庭一樹が読む 時は一六世紀。老ファウスト博士は「哲学、神学、医学、法学。すべてを学んだのに真理がみつからない。もうだめだ~」と絶望して自殺未遂した。すると、ドロン!! 霧の中から悪魔メフィストが現れる。「そんなあんたの願いを何でも叶(かな)えてやるぜ!」 その代わり、老ファウスト博士が人生に満足して「時よ、止まれ。おまえは美しい」と言ったら、悪魔の勝ち。魂をいただいていくぜ、というわけだ。 かくしてファウストは、若返って恋をして、時空を飛んで神聖ローマ帝国で冒険もして。さて、その果てにどうなった!? 書は、ドイツでいちばんの文豪ゲーテが、二十代から八十代まで約六十年も書き続けた一大叙事詩。聖書やギリシャ神話を元ネタにどんどん使い、自身の知のすべてを注ぎ込んでの、お祭り乱痴気(らんちき)騒ぎの大作だ。 ……と紹介しつつ、これってじつは取扱注意のなのかも? というのは、だ。難しく考えず楽

    甘い破滅へ誘う大叙事詩 ゲーテ「ファウスト」|好書好日
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    mitsuba3 2017/07/30
  • コラム別に読む : 応仁の乱 [著]呉座勇一 - 大澤真幸(社会学者) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■日史上最も重要な大混乱 応仁の乱は、日史上最も重要な出来事かもしれない。少なくとも東洋史学の泰斗、内藤湖南はそう言っていた。現在の日につながる歴史、「我々の身体骨肉に直接触れた歴史」はこのときから始まった、と。それなのに、応仁の乱が何か、答えられる日人はほとんどいない。原因は何か。誰と誰が何を賭けて戦ったのか。誰が勝ったのか。書が教えてくれる。 乱の直接のきっかけはささいなことである。ある名門武家の家督争いに周囲が干渉してしまったとか、「オレの顔を潰された」と思った武将がいたとか、そうした類(たぐい)のことだ。当事者たちも、すぐ片がつくと思っていたはずだ。ところが、ここに夥(おびただ)しい数の武士たちが、いろいろな思惑から絡んでくる。だから、それぞれ違う目的で戦っている。誰が敵で誰が味方かもだんだんわからなくなり、ついさっきまで味方の大将だった者が、急に敵の大将になっていたりす

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    mitsuba3 2017/02/17
  • コラム別に読む : ベイリィさんのみゆき画廊―銀座をみつめた50年 [著]牛尾京美 - 西條博子 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

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    mitsuba3 2016/07/08
  • コラム別に読む : おめかしの引力 [著]川上未映子 - 後藤明日香 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ふらっと入った伊勢丹で、気がつけば両手に紙袋を抱えている。高価な洋服も「一生着るとしたら一日数百円だ」と日割り計算し、なかば強引に自分を納得させて買ってしまう。それなのに、家に帰れば出番を待つ服たちがクローゼットにいっぱい。 「わたしのおめかしとは失敗の連続である」。そんな著者が「おめかし」について朝日新聞紙上で6年間連載したエッセイ約70話が収録されている。「おしゃれ」と違って「おめかし」には他人の評価が必要ない。自分がいいと思うものを全力で肯定する。ゆえに失敗もたくさんする。しかし、それを打ち消すくらい最高の気分にもさせてくれる。だから「おめかし」はやめられない。 さまざまな失敗談にくすっとさせられながら、いつの間にか「おめかしの引力」に引き寄せられる。

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    mitsuba3 2016/06/13
    ややきになる
  • コラム別に読む : 関根美有傑作選 はびこる愛 [作]関根美有 - 山脇麻生(ライター) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

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    mitsuba3 2016/06/10
  • コラム別に読む : 自選詩集『そして』 谷川俊太郎さん - 赤田康和 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■死という未来も含め生を肯定 「詩もお笑いと同じ。ウケなきゃいけない」 市場規模が小説と比べて小さい現代詩の世界で数少ない「職業詩人」は、いつも読者を意識してきたという。小学校3・4年生向けという今回の詩集は「若い人が読んでくれるようなもの」を選んだ。 例えば「がっこう」という詩。炎がうれしそうに学校をなめ回し、学校は大声で叫びながら倒れる。最後は「くやしいか がっこうよ くやしいか」と締めくくる。 自身も子ども時代、集団行動が苦手で学校は大嫌い。宿題がある晩は明日学校が燃えてほしいと思った。そんな気持ちを書いた。「単純な詩ですよね」と笑う。 オランダで朗読したとき、子どもたちはウォーッと声を上げた。毒と笑いがあり、それが子どもを捉える。上質の「お笑い」なのだ。 「意識下の世界から自然にわき上がってくる言葉をつかもうとするのが詩の始まり」と詩作を解説する。意識下の世界は子どもも大人も「地続

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    mitsuba3 2016/06/10
  • コラム別に読む : 〔ポケット版〕「暮しの手帖」とわたし [著]大橋鎭子 - 速水健朗(コラムニスト) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■行動力とビジョン伴った人 雑誌『暮しの手帖』は、文章からカット、デザインまですべて自らで行ったカリスマ編集者の花森安治の存在抜きには語り得ない。だが一方、彼を雑誌に巻き込んだ大橋鎭子(しずこ)も重要な存在だった。書は、その鎭子の自伝である。 鎭子は当初、戦後の日で戦災復興の需要を見込み、材木の販売業を目論(もくろ)むが女の人の仕事ではないと反対される。洋裁店、喫茶店という職も頭をよぎった。 だが大きな事業にはなり得ない。もっと大勢の客を対象にしなければ。何の元手も持たない彼女が売ろうと考えるのは「知恵」だった。彼女は出資者を見つけて出版社の立ち上げに動いていく。 鎭子の勝因は、花森を引き込んだこと。 自分の起業の夢を伝えた鎭子に向かって花森は「ひとりひとりが、自分の暮らしを大切にしなかった」から日戦争をしたのだと語る。その後2人は「戦争をしないような世の中」にするため「暮らし」を

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  • コラム別に読む : 食べる私 [著]平松洋子 - 松岡瑛理 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

  • コラム別に読む : 津島佑子の世界 中沢けいさんが選ぶ本 - 中沢けい(作家) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■抒情、果敢に切り開いた作家 二月に亡くなった津島佑子は、女性の産む性を主題とした作品で出発した作家であった。そこでは婚姻という社会制度は拒否もしくは回避される。『山を走る女』は産む性である女性とその子どもを描いてきた作品の中でも、集大成というべきものだ。 都会の園芸店に勤めながら、幼い子どもを育てる女のイメージのもとは山姥(やまんば)だ。足柄山の奥で金太郎をひとり育てた山姥のイメージが都会の園芸店に置き換えられている。作中では保育園の保育日誌が多用され、女親と子どもの間に流れる豊かな時間が提示される。やがてそこに男という存在が登場する。男であって父親ではない。子がいる女も、そこでは母親ではなく女である。 婚姻という社会制度の外側で子を持つというテーマは一九七〇年代後半、世界的な関心事であった。看護婦が戦争で脳に障害を負った男によって子どもを持つというジョン・アーヴィングの『ガープの世界』

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    mitsuba3 2016/04/05
  • コラム別に読む : 百貨店ワルツ [作]マツオヒロミ - ササキバラ・ゴウ(まんが編集者) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■「美麗」な空間に心ときめく 表紙の絵の美しさに、はっと目を奪われる。手に取って中を開くと、どこかレトロ調の絢爛(けんらん)たる美人画の世界が、114ページにわたってオールカラーで繰り広げられる。まんがとイラストがいりまじった構成のだが、「美麗」としかいいようのない彩り豊かな絵をただ眺めているだけで、すっかり魅了される。圧倒的な画力だ。 舞台は、20世紀初頭のモダンな雰囲気をたたえた架空の百貨店。1階から屋上までの各フロアの売り場が順番に紹介される。物語らしい物語はなく、イラストの合間に断片的なまんががはさみ込まれるだけだ。人によっては画集という印象の方が強いかもしれないが、これはタイトルどおり1冊の「建築」なのだ。読者は客や店員となって中を歩き回り、趣向をこらした売り場を眺め、新しい流行や舶来の品々に心をときめかせ、レトロで豪華な百貨店というファンタジー空間を楽しんでいく。そんな読み方

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    mitsuba3 2016/03/10
  • 竹宮惠子「少年の名はジルベール」書評 盟友・萩尾望都への憧れと嫉妬|好書好日

    少年の名はジルベール [著]竹宮惠子 ジルベールとは、マンガ家である著者の代表作『風と木の詩(うた)』に出てくる美少年。少年同士の性愛を描くタブーに挑んだこの作品は、いま「ボーイズラブ(BL)」と呼ばれるジャンルのルーツだ。書は少女マンガ黎明期(れいめいき)にデビューした著者が、マンガで「革命を成功させる」と誓って奮闘した若き日をふり返るエッセー。マンガ家が輩出したトキワ荘にならった「大泉サロン」での共同生活や、『風と木の詩』を世に出すため『ファラオの墓』をヒットさせるなどの逸話は、彼女の戦略性の高さを感じさせる。とりわけ、盟友・萩尾望都に抱いていた憧れと嫉妬がない交ぜになった複雑な感情は、一人称語りの赤裸々な文章も手伝って胸に迫る。 ◇ 小学館・1512円

    竹宮惠子「少年の名はジルベール」書評 盟友・萩尾望都への憧れと嫉妬|好書好日
  • コラム別に読む : 無戸籍の日本人 [著]井戸まさえ - 松岡瑛理 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    「戸籍がない」人生、イメージできるだろうか。書は何らかの事情で出生届が役所に提出されず生きることを余儀なくされた人々のルポだ。 著者はかつて、再婚後の出産が民法の規定に引っかかり「無戸籍児」の母となった経験から支援活動を始めた。住民票が作れない、健康保険証が持てない、銀行口座を作れない──当事者が被る不利益は枚挙に暇がないが、公表がしづらいなどの事情もあり、問題は長らく社会的に放置されてきた。学校に通えず「365日変わらない風景」を見ていたと語る27歳の男性、妊娠したが母子手帳がもらえないと訴える32歳の女性……著者のもとを訪れる相談者たちは、社会の圧倒的多数派からは見えない風景を語る。「就籍」を求めるためには自身が「日人」だと証明せねばならず、面談、指紋採取など、時に犯罪者のような扱いを受ける。「この国では、無戸籍者に『人権』はないに等しい」と著者は言い放つ。丁寧な筆致に引き込まれる

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  • コラム別に読む : 断片的なものの社会学 [著]岸政彦 - 市川真人(批評家・早稲田大学准教授) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■「わからない」と書く誠実さ 近代の合理主義と個人主義の根的な矛盾は、いよいよ露(あら)わになりつつある。楽に社会を把握したがる反面、自分をちゃんと理解されたがり、マーケティングの成果を享受しつつ、「私」の体験は唯一無二であれかしと願う。統計学や社会学のように、より便利により多くを得る手段としての合理性と速度を求める反面、その無人称化と無機質に人の心は軋(きし)みを上げる。 そんな矛盾と違和感に仄(ほの)かに気づいて生きる者たちにとり、書は救いと映るはずだ。社会学者である著者は、個々の人生の一場面を一般化し全体化するのは暴力だとして、意味づけることすら自重しそれらの場面をただ見つめ、記録する。他人の家に毎日植木鉢を置きに来るおばあちゃん、新世界の路上のギター弾き、自分に触れる「他人の手」、少年時代に飼った犬……無数の「断片」を眺める著者の目はどこまでも柔らかく、その温かさが読む者を癒(

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  • コラム別に読む : 高田明さん(ジャパネットたかた前社長)と読む『世阿弥の世界』 - 守真弓 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    高田明さん(ジャパネットたかた前社長) 48年長崎県生まれ。ラジオとテレビの通販「株式会社たかた(現ジャパネットたかた)」を設立=戸田拓撮影 ■「笑い」を批評の対象にした 『世阿弥の世界』[著]増田正造(集英社新書・821円) 「風姿花伝」を知ったのは2年ほど前。話し方を特訓中の社員が、世阿弥のことをテレビで見て「社長が言っていることに似ている」って教えてくれたんです。 それで世阿弥を研究したこのを読んでみた。「風姿花伝」は後世のために書いた秘伝の書。僕も退任を宣言した後で、「残したい」という思いに、感じるものがありました。能と通販では次元が違うかもしれないけど、人の心をどうつかむか、考え方は基的に一緒です。僕は何千回と収録を繰り返す中で、商品の魅力を伝えるためには一体何を磨けばいいのかを、ただただ考えてきたんです。 そうしたら、世阿弥の考えに自然と似ていた。僕がやってきたのは、世阿弥

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  • コラム別に読む : 鬱屈精神科医、占いにすがる 春日武彦さん - 板垣麻衣子 | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

    ■やけっぱち体験を赤裸々に 人の心の専門家であるはずの精神科医が、老いや母の死に直面して、自らの精神的危機に七転八倒する。ついには占いにはまるほどのやけっぱち体験をこれでもかというほど赤裸々につづった問題作だ。 医者であり、単著は40点を超える文筆家。それでも、還暦を過ぎて体力は衰え、心ない編集者からの「最近はが売れないですね」という言葉が「落ち目」と言われているようで突き刺さる。ここ数年、経験したことのない不全感に苦しんだという。 それにしても、精神科医が占いというのもいかにも滑稽だが、「同業者は手の内を知り尽くしているから絶対にいやだった」。やましさを抱えつつ、藁(わら)にもすがる思いで足を運んだ占師の前で、キャリア40年の医師はあられもなく号泣してしまう。 書で初めて、2年前に亡くなった母の存在を徹底的に掘り下げた。期待に応えて医者にもなったが、美しい母が誇れるような「眉目秀麗(

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  • 撮影方針の「十戒」は明快|好書好日

    観察する男 映画を一撮るときに、監督が考えること 著者:想田 和弘 出版社:ミシマ社 ジャンル:芸術・アート 観察する男 [著]想田和弘 [編]ミシマ社 台やナレーションなどを使わずにありのままを観察して映画を撮る監督を、さらに観察したノンフィクション。編集部が制作過程を2年かけて取材した。「選挙」「演劇1」などのドキュメンタリーを発表してきた監督が、次に目を付けたのは岡山・牛窓の牡蠣(かき)工場。働き手不足に悩まされ、中国人労働者が牡蠣をむく。過疎の町に押し寄せるグローバリズムの波。夢中でカメラを回し、被写体に意識を重ね合わせていく。 予定調和を求めない、多角的な取材をしているという幻想を演出する取材は慎む、など撮影方針の「十戒」は明快。怒る材料に満ちあふれた世の中だが、「観(み)る」ことによって感情が沈静化されるという監督に思わずうなった。 ◇ ミシマ社・1944円

    撮影方針の「十戒」は明快|好書好日
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    mitsuba3 2016/02/09
  • 「植物たちの私生活」 絶望の奥から紡ぐ家族の物語|好書好日

    植物たちの私生活 [著]李承雨 すでに世界各国に読者を持つ韓国の作家・李承雨のこの長編小説は、荒々しい暴力で始まって性をめぐり、かなわぬ愛を高らかに謳(うた)い、ひとつの平凡な家族がそれぞれに抱えていた特異な過去を明らかにしながら結末に突き進む。 一度読み始めたら止まらないのではないか。読者は常に主人公とともに新しい出来事に直面し、とまどい、立ち尽くし、わずかな時間のずれをともないながら事態への認識と理解を深めるだろう(例えば、意外な事柄のほんの少し前に印象的な伏線があったり、主人公が読者よりわずか先に何かに気づいたりする)。 この“時間のずれ”の抑制が李承雨の語りの巧みさで、読者は誘導に気づかないまま、自分だけが真実を発見し続けているように作品を読み進むはずだ。徹底的に接続詞の使用を避けることも、話のスリルを高める。 各々(おのおの)に傷ついた家族は重なるエピソードの中でやがて、エゴノキ

    「植物たちの私生活」 絶望の奥から紡ぐ家族の物語|好書好日
  • コラム別に読む : 書店員に聞く 筆さえる役者たち - 林るみ | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

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    mitsuba3 2016/02/01