機器の心臓部としてソフトウエアの実行をつかさどるマイクロプロセサは、2011年も大幅な進化を続けた。特に、スマートフォンなどの携帯機器向けマイクロプロセサでは、マルチコア化と動作周波数の向上が急激に進み、電池駆動時間を延ばすための新たな試みも始まった。一方、パソコンなどに向けたマイクロプロセサでは、CPUとGPUの統合が進むなど、「ヘテロジニアス(異種混合)・コンピューティング」に向かう様子が鮮明になっている。
![【専門記者が振り返る】マイクロプロセサ、この1年――携帯機器向けで激しい性能競争](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/bed39b5962a5d552c95b6d796db8f55e72d32943/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fxtech.nikkei.com%2Fimages%2Fn%2Fxtech%2F2020%2Fogp_nikkeixtech_hexagon.jpg%3F20220512)
太陽電池業界にとって、2011年は激動の年だった。最も衝撃的だったのは、2011年8月31日に米Solyndra社が連邦倒産法第11章(Chapter 11)の適用を申請したことだろう。同社は、オバマ大統領が視察に訪れるなど、グリーン・ニューディール政策の旗手として注目を集める存在だった。 Solyndra社と同じ2011年8月には、米Evergreen Solar社や米Intel社から独立した米SpectraWatt社も、破産に追い込まれた。米国の太陽電池メーカーの相次ぐ破産は、太陽電池モジュールの価格競争が激化したことが一因である。米国企業の一部は、中国からの輸入モジュールに対するダンピング訴訟を起こしている(関連記事)。 2011年のニュースを振り返ると、Solyndra社の破産の前から、世界の太陽電池メーカーが価格競争を回避しようと努力した姿が浮かび上がってくる。その手段として太陽
「ニンテンドー3DS」の筐体下側の分解に成功した日経エレクトロニクス分解班(分解その3)。筐体からメイン基板を取り出し,詳細に観察してみることにした。 まずは,「MITSUMI」の刻印が入った無線LANモジュールやSDメモリーカード用スロットを取り外してメイン基板全体を見てみる。メイン基板(裏側)では,右下にある「TOSHIBA」「THGBM2G3PIFBAI8」(1かIかは不明)と刻印されたチップが目立つ。型番から推測すると,NANDフラッシュ・メモリとみられる。システム格納のものとみられる。 一方,逆側の基板(表側)は,ほとんど部品が実装されていない。唯一,米Texas Instruments社の「PAIC30108」とその周辺回路があるくらいだ。裏側部分にはLiイオン2次電池の接続端子があることから考えると,電源ICである可能性が高そうだ。 メイン基板の表裏をひと通り観察し終えたとこ
米Oracleが米Googleを訴えている裁判には注目する必要がある。Oracle側は「AndroidはJavaプラットフォームの知的所有権を侵害している」と主張している。Google側はこれを全面的に否定し、「この訴訟はオープンソースへの攻撃だ」と非難する。両社は全面対決の構えだ。 もともと携帯電話業界では大手企業同士の訴訟は頻繁に起きている。Androidに関係する裁判だけを見ても、Apple対HTC(関連記事)、Apple対Motorola(関連記事)の裁判が進行中だ。 そうした中でなぜOracleとGoogle裁判に注目するかといえば、第1に「Android開発の事実上の本丸」であるGoogleが直接の標的となる大型訴訟であるからだ。第2に、訴訟の経緯によってはGoogle 1社にとどまらず、他のAndroidスマートフォンを開発製造するメーカーにも影響がおよぶ可能性があるからだ。
1980年代、筆者が高校生・大学生だったころに「C言語がすごい」という話を友人から聞いていた。しかし、当時の筆者が触れていたのはMSXパソコンのBASICと大学の汎用機のFortranくらいだった。C言語をやっと手に入れたのは、1992年の暮れである。清水の舞台から飛び降りるような気持ちでBorland C++の大箱を買って帰った。 それから20年近くが経過した今でも、C言語は「最強のプログラミング言語」と呼ぶべきポジションを確保し続けている。UNIXオペレーティングシステムとC言語が世界に与えたインパクトの大きさは、実に大きなものがあった。 ただ、C言語を学習したり評価したりする際には、C言語の大きな欠点を知っておく必要があるだろう。筆者が考えるその大きな欠点とは、「文字列の扱いが非常に面倒」であることだ。 「バッファオーバーフロー」を回避するのは大変 例を示そう。図1はC言語で記述した
最近のセキュリティーベンダーからの報告では、クライアントパソコン(PC)への攻撃の中では特にAdobe ReaderおよびAcrobatのぜい弱性が狙われていることが報告されている。日本IBM セキュリティー・オペレーション・センター(以下、東京SOC)でも、Adobe Reader のぜい弱性が最も攻撃を受けていることを確認しており、注意が必要だと考えている。しかし、危険なぜい弱性が存在するアプリケーションはこれだけではない。今回はGumblar攻撃の被害に遭ったクライアントPCの被害発生原因を調査して判明した、クライアントPCに放置されやすいぜい弱性について解説する。 Gumblar攻撃は、マルウエア感染の成功率を高めるために、複数のアプリケーションのぜい弱性を狙う。以下はGumblar攻撃が攻撃対象としているぜい弱性の一覧である。 ・Java Runtime Environment
NTTドコモは2010年4月1日、米グーグルの携帯端末向けOSであるAndroidを組み込んだスマートフォン「Xperia」の発売に際して、東京都内の量販店で記念イベントを開催した。イベント会場は、東京・秋葉原のヨドバシカメラ マルチメディアAkiba店と、東京・有楽町のビックカメラ 有楽町店の2個所。 イベント会場でNTTドコモの山田隆持社長は、「コミュニケーション自体がエンターテインメントになる製品。新しいスマートフォンを体験して欲しい」と訴えるとともに、今年度はスマートフォンの販売数が2~3割増えると展望。市場の伸びに期待を寄せた。3月18日から予約の受け付けを開始し、発売までに「5万台を超える予約があった」(山田社長)という。 ビックカメラの宮嶋宏幸社長は「携帯製品としての予約受け付け数は過去最高」と販売の好調なスタートを評価した。スマートフォンの販売台数については、「2009年度
「漢字1文字は2バイト」という常識が、大きく変わろうとしている。現在改正中の「常用漢字表」に対応するためには、Unicodeの4バイト文字を使用する必要があるが、それだけでは済まない恐れがある。今後、戸籍や住民基本台帳で使われている文字がUnicodeに追加されると、漢字1文字が最大8バイトになるかもしれない。文字コードに詳しい京都大学人文科学研究所附属東アジア人文情報学研究センターの安岡孝一准教授が、問題の核心を解説する。(日経コンピュータ) 先日公開した『新常用漢字表が迫るUnicode移行、「シフトJIS」では対応不可能』の読者から、「今後のシステムでは漢字1文字を最大4バイトで処理すればいいのか」という質問を頂いた。実は、UTF-8あるいはUTF-16で漢字を表す場合、最新のUnicodeにおけるIVS(Ideographic Variation Sequence)を考慮すると、漢
世界一の計算速度に固執した国策の次世代コンピュータ。無駄な予算を判定する行政刷新会議の事業仕分けは、なぜ、事実上の凍結判定を下したのか。計算科学の専門家で、仕分け人として鋭い指摘を関係者らに浴びせかけた東京大学の金田康正教授は、迷走した一連のスパコン問題の根底には「日本の科学と技術への無理解がある」と指摘。「技術立国ニッポン」は虚像であることが露呈したことを示唆する。(聞き手は島田 昇=日経コンピュータ) 予算復活はいいが不本意 迷走した国策スパコン事業の予算が復活した。率直な感想は。 現時点(12月18日)で文部科学省の見直し内容の詳細が公開されていないため、あくまでマスコミ発表の情報を基に議論せざるを得ない。そのため、どの点を見直すべきかコメントしづらい状況ではあるのだが、率直な感想としては「予算が復活したことはいいが、不本意である」ということだ。 スパコン事業が凍結となれば、日本の技
「薄さ13.9mm」。2009年10月8日に発表になったソニーの「VAIO X」は,その軽さと薄さで以前から話題になっていた。日経エレクトロニクス分解班としては,これは見逃す手はない。 市販モデル(Microsoft Officeなし)の想定市場価格は約11万円。これに対し,ソニーの通販サイトである「ソニースタイル」では,マイクロプロセサの性能を落としたり,電池容量を小さなものにすれば,8万9800円から購入できる。メイン基板のレイアウトなどはほとんど変わりがないはずなので,安価に済むに越したことはない。 ソニースタイルのサイトを見ると,予約の受け付けは10月20日10時からということになっている。そこで,当日を待って予約をすることにした。 当日10時。ソニースタイルの該当サイトを開いて待つ。しかし,なかなか「10時から予約受け付け」の状態から変わらない。13.9mmという薄さのインパクト
米First Solar社は米国時間の2009年9月8日,公式訪米中の中国全国人民代表大会 常委会委員長の呉邦国(Wu Bangguo)氏と,中国内モンゴル自治区のオルドスに大規模な太陽光発電所を建設することで合意したと発表した。 計画は4段階に分かれる。当初は,2010年6月1日までに最大出力30MWの発電施設を建設。続いて,同100MW,同870MWの施設をそれぞれ2014年までに,最後に同1000MWの発電施設を2019年までに建設する。これらを合わせた発電能力は計2000MW(2GW)。つまり出力のピーク値は,一般的な原子力発電2基分に相当する。これまでの太陽光発電施設はドイツの50MW台が最大だった。今回の合意で,それが一気に40倍の規模になる見通しである。 この発電所で発電した電力は,Feed-in-tariff(FIT)と呼ぶ,高値の買い取りを長期間保証する制度で中国側が買い
筆者は3年前、ITproで「ついにWindows開発から離れた『闘うプログラマー』」というコラムを書きました。Windows NTのアーキテクトで、ドキュメンタリー「闘うプログラマー」の主人公であるデイビット・カトラー(David Cutler)氏が2006年7月をもって,Windows OSの開発部門を離れたという記事です。実はこれは誤報でした。今回はこのことをお詫びしたいと思います。 3年前のコラムでは、カトラー氏がWindows OSの開発部門からオンラインサービス「Windows Live」の開発部門に異動したことを指して「Windows OSの開発現場を離れた」と表現していました。当時の筆者にとってWindows OSとは、カトラー氏が設計したWindows NTの系譜を引き継ぐ「Windows Vista」と「Windows Server 2008」のことでした。Windows
何だか不思議な体験をした。お茶の集まりに、「見せたいものがあって」と美術商の知人が、あるブツを持ってきたのである。リサイクルショップの棚でホコリをかぶっていたのだが「いや、ひょっとして薩摩切子じゃないかと思って買ってみた」などという。 残念ながら、薩摩切子のことはよく分からない。ただ、どんなものかは知っている。幕末の薩摩藩でごく短期間作られた、それは希少な、マニア垂涎の逸品である。リサイクルショップに転がっているような代物ではない。で、眉にツバをたっぷり塗って梱包が解かれるのを見守っていたのだが、それがちらりと姿を表した瞬間、背筋に何かが走った。「こりゃ大変だ、本物だ」。そう確信したのである。それまで薩摩切子などというものを間近に見たことすらない。しかも「本物などということは絶対にあり得ない」状況である。そんな逆境をもろともせず、頭のどこかが勝手に「本物だ」という判定を下した。しかも瞬時に
2009年4月9日,NTTコミュニケーションズ(NTTコム)の「Arcstar IP-VPN」を監視するシステムがウイルスに感染していたことが明らかになった。感染範囲はNTTコムの内部にとどまらず,Arcstar IP-VPNを利用する企業のパソコンまで被害が拡大した。NTTコムのシステム運用の甘さが露呈した格好だ。 Arcstar IP-VPNには,ユーザー企業のルーターを監視する「ルーター監視オプション・サービス」がある。ウイルスに最初に感染したのは,同サービス向けの監視端末である(図1)。 NTTコムが監視端末の感染を知ったのは,2009年4月9日の午前中。Arcstar IP-VPNのユーザー企業から「NTTコム側から不正なパケットが断続的に届いている」との報告があった。この申告に基づきシステムを調査したところ,監視端末のウイルス感染が見付かった。同日13時ごろに全監視端末をネット
日本発の仮想マシン・ソフトウエアBitVisor 1.0が2009年3月30日,オープンソース・ソフトウエアとして正式リリースされた。政府の情報セキュリティ基本計画「セキュア・ジャパン」の施策の一つとして,政府機関への導入を目指し開発した,暗号化機能などを備える仮想マシン・モニターである。 開発を担当したのは筑波大学を中心とした産学のチーム「セキュアVMプロジェクト」。そしてCPUの仮想化を行うコア部分を一人で開発したのは,3年前のプロジェクト発足当時は大学を卒業したばかりの大学院生だった榮樂英樹氏である。榮樂氏は,中学生でIBM PCのエミュレータを,大学2年生で仮想マシン・モニターを作ったという経歴を持つ。 製品化に備えすべて独自開発 BitVisorは,クライアント・パソコンからの情報漏洩を防ぐ目的で開発されたクライアント・パソコン向けの仮想マシン・ソフトウエアだ。OSより下の,仮想
「FTTH技術は日本の牙城のようだが,それでは誰が世界に売り込んでいるのか」,「官庁系の研究会では,AV機器メーカーが国際化の手本のように言われていたが,全然そんなことはないのではないか」,「メーカーの数が多すぎる。開発リソースが,多くの会社に分散していることが最大の課題だ」,「結局はマネジメントの問題。“総合”をうたう企業のトップに,個別事業の判断ができるわけがない」,「監督官庁は競争条件の整備だけに注目すべき」「“適正価格”と軽々しく言うものではない。適正価格は,市場が決めるものである」・・・。 2009年4月10日に設立発表会があった“超ガラパゴス研究会”(正式名称は,IT国際競争力研究会)は,初回の会合から熱い議論が繰り広げられた。2人の委員が提示した「通信業界の進化」と「電機産業の本質的課題」という2テーマだけで当初の予定時間を大幅に超過し,残る1委員の発表が次回に延期になったほ
怖い話を聞いた。某大メーカーの幹部が雑誌をパラパラとめくっていたら、大口取引先であるメーカーの広告が載っていた。さっそくその幹部はそのメーカーを訪ね、「いやあ結構なことですな、このご時勢に広告をお出しになる余裕があって」と皮肉ったらしい。そう言われた中堅メーカーでは即日、広告出稿を停止したという。 業績不振で広告宣伝費を大幅に削減している大手メーカーの心証を悪くしたくないという配慮であろう。「余裕があるとみられたら、必ずや厳しく値下げを求められる」という現実的な理由もある。とにもかくにも、大切な顧客に「余裕がある」と見られてはならないのである。 かく言う私だって、上の人から「みんな忙しそうなのに、君は余裕だねぇ」などと言われたら、その瞬間からものすごく忙しそうなフリをして「いやぁ、ヘラヘラしているように見えるかもしれませんが実はすごく大変なんでして」とか、思いつく限りの悲壮ネタを披露するこ
独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)は2009年4月中旬にも,同機構が配布しているIPAフォントを,改変と再配布が自由な新ライセンスで新たに配布する。現在は改変を認めていないライセンスのもとで配布しており,IPAフォントを改良したフォントの配布が困難,Linuxディストリビューションによっては同梱が困難という問題があった。 以前,Linuxには高品位でフリーなフォントがないという問題があった。IPAはこの問題に対し,Linuxのデスクトップでの利用を促進するため,商用フォントを買い取り,2003年末にIPAフォントとして無償公開した。当初,IPAが支援したソフトウエアと同梱する形でのみ再配布を認めていたが,2007年に現行ライセンスとなり,IPAフォント単体での再配布ができるようにした。 IPAフォントの新ライセンスは,Open Source Initiative(OSI)により,20
クライアント・パソコンを狙った攻撃が巧妙さを増し,対策はますます難しくなってきている。中でもJavaScriptやFlashのぜい弱性を悪用した,スクリプトを使う攻撃は極めて厄介である。スクリプトは静的なWebページだけでなく,動的コンテンツ,画像,ファイルに含まれていることがあり,攻撃を受けた時期の特定が難しいからだ。 そんな中で,今後大きな脅威になると見られている攻撃手法の一つに,「GIFAR」がある。2008年8月に報告された攻撃手法で,2009年2月にホワイトハット・セキュリティのCTOであるジェレミア・グロスマンをはじめとするWebセキュリティの専門家が選ぶ「Top Ten Web Hacking Techniques of 2008」の1位に選ばれた。日本ではあまり話題になっていないが,いつやって来るか分からない。今後の影響範囲を考えると,特にWebアプリケーション開発者は知っ
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