伊藤:私も地方からの国政の改革は可能だと思います。しかし、残念ながら今の日本では、中央も地方も政治家が本来の役割を果たしているとはいえません。日本国憲法の大きな特徴のひとつは、地方自治を独立の章として、憲法上保障したことです。本来、憲法が想定する国家の仕組みでは、中央と地方の役割分担をかなり明確にしています。世界的に見ても、あそこまで明確に地方自治というものを憲法の中に取り込んでいる国も当時は珍しかったでしょう。ですから、戦前の中央集権においては、中央で決めたことを地方に浸透させるために、内務省の役人が国から知事として任命され、中央の出先機関のような都道府県に派遣されていました。それが、戦後は中央と対峙して独立に政治をしていけるように、きちんと憲法上の位置付けを与えられたのです。 その意味は2つあって、1つは中央に権力が集中し過ぎるのは良くないということです。例えば、内務省に集中していた警