美術の歴史を書いた本や個別の美術作品や美術家の物語を書いた本はたくさんあるけれど、確かに、人類の壮大な営みとしての美術の物語を書いた本はないかもしれない。この本を手に取ったとき、まず、そう思った。そして読み進めていくうちに確かにそうわかったし、行間から美術への愛情が溢れてくるのを感じたものだ。 1950年出版の超ロングセラーたまにあるアンケートだが、「無人島に1冊だけ持っていくとしたら、あなたはどんな本を選びますか?」というあれ。昔だったら「1冊なんて選べません」とか答えたかもだけど、今はこれでいいかなと思ってる。エルンスト・ゴンブリッチ卿(著者表記はE. H. ゴンブリッチ)の『美術の物語』である。 僕の持ってる版の表紙のビニールカバーに貼ってあるシールには「売上部数7,000,000突破『世界で一番売れてる美術の本』US News & World Report」とあるが、日本語最新版を
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