――「ねんきん特別便」処理現場の最前線に密着 平成19年の夏。「最後の1人まで解決する」――国民の記憶に深く刻まれた、安部元首相の年金記録問題解決へのメッセージ。しかし、その期限については明らかにしないまま、国民に“協力”を求める形で、その年の12月から、約1億人に「ねんきん特別便」の発送が始まった。 そして、今年3月末には、舛添厚生労働大臣が「『ねんきん特別便』の処理作業を今年中までに一区切り付ける」と発表。来年1月には社会保険庁は新しい組織に移行するため、「負の遺産」は積み残さないという国民へのアピールだった。 だが、政府の読みは甘かった。この時点で、未解決の「ねんきん特別便」は640万件にものぼっていたのだ。該当者不明といわれる5000万件の年金記録は、この「ねんきん特別便」の回答によってきれいに統合されるどころか、探し出せない記録の山として、新たに堆く積み上がっているという。