そして、より深刻に考える必要があるのは、この地の「ロシア国籍」問題である。というのも、ロシアは、2019年4月以降、ウクライナ東部の紛争地域にて、住民がロシア国籍取得する際の手続きを簡素化する決定を下しており、それ以降、同地住民に対して国籍のばらまきを行っているのである。これは、紛争地における「パスポーティゼーション」と呼ばれる行為であり、紛争解決を困難にするものとみなされている。つまり、現在ロシアは、ウクライナの主権を侵害しながら、「自国民」を簡易的に作り出し、その保護を名目にウクライナへとさらに武力を行使しようとしているのである。 言うまでもなく、それは非難すべき対象であり、侵略の正当化の根拠とみなしてはならない。実際に、欧米はロシアによるパスポーティゼーションを繰り返し非難している(なお、ロシアはジョージアでも同様の国籍ばらまきを行っている)。 「ウクライナ東部の人たちがロシアに統合
著者: 山戸結希 , 菊地健雄 大きな反響を呼んだ、2021年4~6月放送のドラマ『生きるとか死ぬとか父親とか』(テレビ東京「ドラマ24」、現在はAmazonプライム・ビデオなどで配信中)。原作は、父と25年前に亡くなった母のことを綴ったジェーン・スーさんの同名エッセイ。ドラマの監督を務めた山戸結希さん(1、2、9~12話を担当)と菊地健雄さん(3~8話を担当)が、演出における試行錯誤を振り返りながら、あらためて作品の魅力を語ります。 (司会・構成:兵庫慎司) (前回の記事へ) 想像力を倍音のように響かせて ──ドラマの後半になると、どんどん話がシリアスになっていきます。20代のトキコを松岡茉優さんが演じるパートです。父と母が同時に入院し、トキコはやむを得ず父の愛人に看病を頼む。そして母は……という後半ですが、ドラマを観た後に原作を読み返すと、ジェーン・スーさんはその部分を意外とサラッと書
「3回ワクチンを打ち、隔離の準備もできている」などと書いた紙を手に日本の水際対策を批判する若者=独北部ハンブルクで1月28日午後2時23分、念佛明奈撮影 世界に広がる抗議の声 「入国禁止措置は日本の将来にも損害を与える」。1月28日、ドイツ北部ハンブルク。日本総領事館前に集まった3人が新型コロナウイルスの感染拡大を受けた日本の水際対策を批判した自作のポスターを掲げていた。 「東京オリンピックが終われば、衆院選が終われば、日本に行けると期待していたら、今度はオミクロンだ」。日本で語学学校に通う手続きを済ませ、入国規制緩和を待ち続けてきたケビンさん(28)はポスターを手にこう語った。日本行きに備えて蓄えてきた貯金はドイツでの家賃や生活費に消えていく。「『もしかして来月には日本に行けるかも』。そう考えると、ドイツで就職もできない」と表情を曇らせた。 隣にいたデニズさん(27)は日本で修士号を取る
ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『マクベス』は、オーソン・ウェルズや黒澤明、ロマン・ポランスキーなど、名だたる巨匠監督たちが映画化を手がけ、映画の分野においても親しまれてきた題材だ。ジャスティン・カーゼル監督によって、2015年にも数度目の映画化を果たしたばかり。その人気の理由は、シェイクスピア悲劇の中では比較的短く、ちょうど一本の映画作品にしやすいボリュームであるとともに、誰もが認める深い芸術性と、現代にも通じる美学が存在するからだろう。 ここで紹介する、A24製作のApple TV+配信作品『マクベス』を手がけたジョエル・コーエン監督もまた、現代においてキャリアでは巨匠監督の一人に数えられる存在である。優れたセンスで数々の異色作を撮りあげてきた彼が、ついにこの古典に挑戦することとなったのだ。意外なのは、これまで彼とともに「コーエン兄弟」として数々の作品を共同で監督してきた、弟のイーサン
7月は大きなスポーツイベントを巡り、日本と欧州で奇妙な違いが見られた。11日に英国では新型コロナウイルスの感染者が急増しているのにもかかわらず、サッカー欧州選手権は6万人の観衆の前で決勝が行われた。同じ日にテニスのウィンブルドン選手権も大勢の観客に囲まれる中、男子シングルス決勝を迎えた。 一方で23日に開幕した東京オリンピックは、VIPをのぞいて無観客で行われていく。日本では新型コロナの1日の100万人当たりの症例数が英国の30分の1に過ぎず、死亡率が低いのにもかかわらずだ。 対応に違いがある理由の一つはワクチンの接種状況だ。英国が世界で最も早く接種を始めた一方で、日本は大きく遅れている。英国は、国民の半数以上が規定回数の接種を終えたが、日本は2割程度だ。他の欧州諸国は英国よりも遅かったものの、現在は同じ水準まで接種が進んでいる。
著者: 山戸結希 , 菊地健雄 大きな反響を呼んだ、2021年4~6月放送のドラマ『生きるとか死ぬとか父親とか』(テレビ東京「ドラマ24」、現在はAmazonプライム・ビデオなどで配信中)。原作は、父と25年前に亡くなった母のことを綴ったジェーン・スーさんの同名エッセイ。ドラマの監督を務めた山戸結希さん(1、2、9~12話を担当)と菊地健雄さん(3~8話を担当)が、演出における試行錯誤を振り返りながら、あらためて作品の魅力を語ります。 (司会・構成:兵庫慎司) ジェーン・スーを選んだ理由 ──最初はテレビ東京の佐久間宣行プロデューサー(2021年春に同社を退社)が、山戸監督とドラマを作りたいということで、原作候補をたくさん持って来た中から、この作品を選ばれたんですよね。 山戸 はい、佐久間さんとの話し合いの中で、今回のエッセイが俎上に載せられました。単行本のカバーを見た瞬間に、「こんな美し
会談後、共同記者会見に臨むハンガリーのオルバン首相(左)とプーチン露大統領(右)=モスクワで1日、AP ロシアのプーチン大統領は1日、ハンガリーのオルバン首相をモスクワに招き、ハンガリーへの天然ガス供給拡大などで合意した。また同日、イタリアのドラギ首相とも電話協議し、露大統領府は「ロシア産ガスのさらなる供給に向けた用意がある」と強調した。ウクライナ情勢を巡り米欧との対立が深まるなかで、ロシアは天然ガス供給などによる依存関係をてこに、欧州の切り崩しを図っている。 プーチン氏とオルバン氏は会談で、ハンガリーに対するガス供給を年間10億立方メートル追加することを検討すると確認した。プーチン氏は「ハンガリーは他のヨーロッパ諸国よりも安い値段でガスを購入している」などと述べ、ハンガリーとの良好な関係をアピールした。ハンガリー国内のロシア製原発増設で協力を進める方針でも合意した。
酒、タバコ、茶、コーヒー……栄養の摂取ではなく、覚醒や鎮静を得るために口にするものを、われわれは「嗜好品」と呼ぶ。人類はなぜ、一見すると生存に不可欠ではなさそうな嗜好品を求めるのだろうか。 そもそも「嗜好品」は日本語に特有で、他国語に訳出するのが難しい不思議な言葉だ。初めてこの言葉を使ったのは、森鴎外と言われる。1912年に発表した短編小説『藤棚』で、嗜好品を「人生に必要」で、「毒」にもなるものと表現した。薬にも毒にもなる、曖昧さと両義性をはらんだ「嗜好品」。『DIG THE TEA』では連載シリーズ「現代嗜好」を通じて、嗜好品が果たす役割やこれからのあり方を、第一線の知識人との対話を通じて探っていく。 第2回は、哲学者の國分功一郎をたずねた。博士論文を書籍化した『スピノザの方法』から近刊『はじめてのスピノザ』まで一貫して研究してきたスピノザ哲学をベースに、政治哲学から『暇と退屈の倫理学』
アカデミー賞®の前哨戦ともいわれるサンダンス映画祭で、史上最多4冠に輝き、世界を沸かせた〈必見の1本〉。その日、この映画が上映されるや、各国のバイヤーが配給権に殺到。サンダンス映画祭史上最高額【約26億円】で落札されたことも大きなニュースになった。 主人公のルビーには、大ヒットTVシリーズ「ロック&キー」で一躍人気のエミリア・ジョーンズ。共演は『シング・ストリート 未来へのうた』の主役でも話題のフェルディア・ウォルシュ=ピーロ。ルビーの家族を演じるのは、オスカー女優のマーリー・マトリンを始め全員が実際に聞こえない俳優たち。そのキャスティングにこだわったのは、若き実力派監督シアン・ヘダー。 抱き合い支え合っていた家族が、それぞれの夢に向かって歩き始めることで、さらに心の絆を強くする──熱く美しい瞬間を共に生き、あなたの〈大好きな一本〉になる、爽快で胸熱な感動作。 豊かな自然に恵まれた海の町で
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