タグ

ブックマーク / realsound.jp (54)

  • 河合優実主演『ナミビアの砂漠』の強烈なオリジナリティ 山中瑶子監督による“決意の一石”

    『バービー』(2023年)、『プロミシング・ヤング・ウーマン』(2020年)、『82年生まれ、キム・ジヨン』(2020年)など、近年至るところで、差別的な環境に生きる女性が主体的な生き方を模索する姿を力強く描く映画が製作されている。そんななか、圧倒的に個性的でありながら、これらの作品に並ぶほどの衝撃を放つ作品が、日からも出現することとなった。それが、山中瑶子監督、河合優実主演の『ナミビアの砂漠』である。 その軽やかながら、凄まじい強度を併せ持った内容は話題を呼び、映画館で満席の回が続くなどの活況をもたらした。心が撃ち抜かれたり、ワイルドな道を歩む主人公に共感したという観客の声も後を絶たない。しかしそれでもなお、この映画は十分に評価されているとはいえないのかもしれない。なぜなら作『ナミビアの砂漠』は、社会における変革の過渡期といえる、この時代のカルチャーを代表する一作になったり、世界の映

    河合優実主演『ナミビアの砂漠』の強烈なオリジナリティ 山中瑶子監督による“決意の一石”
  • 千葉雅也が語る、自己破壊としての勉強と痛みとの共存 「生きることは、プリミティブな刺激を快楽に変換すること」

    千葉雅也が語る、自己破壊としての勉強と痛みとの共存 「生きることは、プリミティブな刺激を快楽に変換すること」 痛みを享楽に変えるのが人間 ――『勉強の哲学』では、人間は基的にマゾである、痛みを享楽するものだという主張も重要で、これは千葉さんの小説『デッドライン』でも描かれていると思います。しかし、世の中的には痛みをどんどん取り除いて「快適」にしようとする動きばかりが加速しているように感じます。人間が来マゾであるなら、なぜ社会はそれを取り除く方向に流れるのでしょうか。 千葉:結局、痛みが嫌だからでしょう。二律背反で、痛みは享楽にできるけれど、それでも痛いのはやはり嫌なんです。先ほど話した自己破壊も要するに痛みですから、そういう無理なことをしたくない人も多いわけです。でも、痛みを減らそうとしても完全にゼロになることはない、だから少しでも痛みを快楽に変えようとする傾向が人間にはあります。 ―

    千葉雅也が語る、自己破壊としての勉強と痛みとの共存 「生きることは、プリミティブな刺激を快楽に変換すること」
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2024/08/28
    “生物が生きていくということは、プリミティブな刺激を快楽に変換することなんです。痛みを減らそうとしても減らしきれないので、本当は痛みとは共存しないといけません。”
  • 千葉雅也 × 速水健朗が語る、テクノロジーと創作の共進化 「マルチウィンドウは再評価すべき」

    マルチウィンドウ的発想 速水:ちなみに千葉さんは、影響を受けている小説家などはいるんですか? 千葉:1990年代から2000年代に読んだものは自分の中に残っていると思います。東京に出てきた頃、阿部和重さんの『インディヴィジュアル・プロジェクション』といった初期作品の印象は鮮烈でした。でも、一番影響を受けたのは、BL的とも言える小説を書いていた長野まゆみさんかもしれない。少年同士の友愛を描いたバディもので、高校時代にその批評も書きました。長野作品がまずあって、そこから稲垣足穂を知ることになりました。大江健三郎だとかを読んでガツンと来た、みたいな文学青年では全然なかったです。村上龍さんの『限りなく透明に近いブルー』などにしても、だいぶ後になってから読みました。 他の作家の小説を読む際も、細部に全てが凝縮されているという思想は一貫しているので、細かいところの呼吸を感じることを重視しています。どち

    千葉雅也 × 速水健朗が語る、テクノロジーと創作の共進化 「マルチウィンドウは再評価すべき」
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2024/07/04
    “マルチウィンドウは、常にメタ意識があって、後ろや横にもウィンドウがあるというイメージですよね。だからこそ、80、90年代の「なんちゃって感」だったり、ちょっと引いた視点からのアイロニーが成立していた”
  • 宮台真司×荘子it「テック時代の恋愛論」 濱口竜介監督作『偶然と想像』をめぐって

    最新作『悪は存在しない』が絶賛公開中の濱口竜介監督。そんな濱口監督の過去作の中でも傑作と名高いのが、2021年12月に公開され、第71回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞した『偶然と想像』だ。そんな作について、社会学者・宮台真司とDos Monosの荘子itが対談。濱口竜介作品を観続けてきた2人は、『偶然と想像』に何を見出したのか。 「あるある系」の媚びを越えたもの 『偶然と想像』©2021 NEOPA/fictive 荘子it:僕は2012年に18歳で日大学芸術学部映画学科監督コースに進学して、結局その後ドロップアウトしてラッパーになったのですが、大学1年生の頃にある出会いがありまして。今はなき映画館「オーディトリウム渋谷」で、「濱口、濱口、濱口」っていうキャッチコピーとともに若手監督・濱口竜介の特集上映をしていたんです。「濱口竜介って誰それ?」状態のまま観に行った

    宮台真司×荘子it「テック時代の恋愛論」 濱口竜介監督作『偶然と想像』をめぐって
  • 映画『SAND LAND』にみる“作家・鳥山明”の凄み 『ドラゴンボール』以上の強靭な内容に

    鬼滅の刃』や『呪術廻戦』など、『週刊少年ジャンプ』の漫画作品を原作としたアニメーション作品、いわゆる「ジャンプアニメ」が、近年とくに予想を超えた大ヒットを記録し、さらには『SLAM DUNK』のアニメ映画、『聖闘士星矢』実写映画のように、過去の人気タイトルを原作とした作品も続々公開されている。 この度アニメ映画化作品として公開された『SAND LAND』もまた、『週刊少年ジャンプ』を代表する漫画家・鳥山明が、大ヒット作品『DRAGON BALL』の連載を終えた後、2000年に短期連載した漫画を基に、サンライズ、神風動画、ANIMAが制作したもの。このような企画がいま成立するというのは、現在のジャンプアニメの勢いの強さと、鳥山明のネームバリューの大きさが感じられるところだ。 『DRAGON BALL』は現在も、映画、TVアニメ、漫画などで『ドラゴンボール超』というかたちで製作されているが、

    映画『SAND LAND』にみる“作家・鳥山明”の凄み 『ドラゴンボール』以上の強靭な内容に
  • 新感覚ドラマ『あれからどうした』はどう作られたのか? 「5月」が描き出す人間の“嘘”

    2023年もあとわずか。そんな年の瀬に、観た後に必ず語りたくなる特別集ドラマ『あれからどうした』がNHK総合にて12月26日から3夜連続で放送される。作を手掛けたのは監督集団「5月」。関友太郎、平瀬謙太朗、佐藤雅彦の3名から成る「5月」は、「手法がテーマを担う」を掲げて新しい作品を生み出している。人間の「表と裏」を暴き出す『あれからどうした』を「5月」の3名はどうやって作り出したのか。 『あれからどうした』第1話「虚実の社員堂」では、とある証券会社の社員たちが昨晩の飲み会後の行動を語り合う模様が、第2話「久保家の隠しごと」では、ある4人家族のそれぞれの抱えた秘密を語り合う模様が、第3話「制服を脱いだ警察官」では、警察官たちがプライベートで何をしているかを語り合う模様が、それぞれ描かれている。3話に共通しているのは“嘘”。観ている映像と、登場人物たちが語る内容がい違っていく様子が、これ

    新感覚ドラマ『あれからどうした』はどう作られたのか? 「5月」が描き出す人間の“嘘”
  • デヴィッド・フィンチャー監督『ザ・キラー』を徹底考察 ラストシーンは何を意味する?

    「殺し屋」を職業にしている人物は、娯楽映画において数限りなく登場してきた。おそらくは多かれ少なかれ実際に存在していて、たぶんどこかで暗躍しているのだろうが、ほとんどの人は殺し屋に会ったことがないのではないか。もし会うときがあったとしても、それが自分の人生の終わりの瞬間になるかもしれない。まるで、幽霊や死神のようなものではないか。だからこそ、殺し屋には一種のロマンが漂っているといえる。 そんな「殺し屋」という存在を突きつめて描く映画が、デヴィッド・フィンチャー監督の『ザ・キラー』である。フランスのグラフィックノベルシリーズを原作に、フィンチャー監督との仕事を続けてきた脚家アンドリュー・ケヴィン・ウォーカーが、『セブン』(1995年)以来、正式にタッグを組んで脚を務めたことでも、作『ザ・キラー』は話題だ。ここではそんな作品が、いったい何を描いていたのかを、できる限り深いところまで読み取っ

    デヴィッド・フィンチャー監督『ザ・キラー』を徹底考察 ラストシーンは何を意味する?
  • 千葉雅也 × 速水健朗が語る、テクノロジーと創作の共進化 「マルチウィンドウは再評価すべき」

    千葉雅也の三冊目となる小説『エレクトリック』(新潮社)は、1995年の栃木県宇都宮市を舞台に、高校二年生の主人公・達也が東京へ憧れながら、広告業を営む父と過ごした日々を描いた青春小説だ。黎明期のインターネットをはじめとした当時のメディア環境を細かに描き出しているのも特徴で、2023年7月に『1973年に生まれて 団塊ジュニア世代の半世紀』(東京書籍)を著したライターの速水健朗も大きな感銘を受けたという。 1995年はどのような時代で、地方都市で暮らしていた少年たちは何を夢みていたのか。そして、メディアやテクノロジーの発展は創作にどんな変化をもたらすのか。千葉雅也と速水健朗の対談をお届けする。(編集部) メディアの変化と新しい時代への期待があった1995年 千葉雅也『エレクトリック』(新潮社) 速水:『エレクトリック』は1995年の栃木県宇都宮市を舞台にした小説です。真空管オーディオとCD、

    千葉雅也 × 速水健朗が語る、テクノロジーと創作の共進化 「マルチウィンドウは再評価すべき」
  • 佐久間宣行が星野源&若林正恭との『LIGHTHOUSE』で感じた“セルフケアの重要性”  「共感性が高いことは大事だが、この時代に生きるのは大変」

    佐久間宣行が星野源&若林正恭との『LIGHTHOUSE』で感じた“セルフケアの重要性”  「共感性が高いことは大事だが、この時代に生きるのは大変」 星野源と若林正恭によるNetflix番組『LIGHTHOUSE』が大きな話題となっている。全6回、月に一度のふたりが“悩み”をテーマに語り合う様子を、半年間記録したトーク番組だ。 星野と若林はこれまで、『あちこちオードリー』(テレビ東京)での星野のゲスト出演や、星野源オフィシャルイヤーブック『YELLOW MAGAZINE 2021-2022』での対談、『星野源のオールナイトニッポン』で披露された楽曲「Pop Virus feat.MC.waka」、オールナイトニッポン55周年記念ジングルなど、数々のコラボレーションと会話を続けてきた。 若き日の葛藤、人間関係の苦しみ、社会への意識、クリエイターとしての内省など、共鳴するふたりが紡ぎ出す言葉に注

    佐久間宣行が星野源&若林正恭との『LIGHTHOUSE』で感じた“セルフケアの重要性”  「共感性が高いことは大事だが、この時代に生きるのは大変」
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2023/09/09
  • 宮藤官九郎企画・監督・脚本『季節のない街』主演は池松壮亮 共演に仲野太賀&渡辺大知

    8月9日よりディズニープラス「スター」にて独占配信される、宮藤官九郎が企画・監督・脚を務めるドラマシリーズ『季節のない街』の主演を池松壮亮が務め、仲野太賀、渡辺大知が出演することが発表された。 作は、宮藤が長年温めてきた企画で、山周五郎の小説『季節のない街』を映像化する、仮設の街を舞台にした青春群像エンターテインメント。原作小説は、黒澤明監督が映画化し、『どですかでん』のタイトルで1970年に公開されている。誰もがその日の暮らしに追われる“街”を舞台に生きる住人たちの悲喜を紡いだ物語。この小説をベースに、作では、舞台となる「街」を、12年前に起きた“ナニ”の災害を経て建てられた仮設住宅のある「街」へ置き換え、現代の物語として再構築。希望を失いこの「街」にやってきた主人公が、「街」の住人たちの姿に希望をみつけ、人生を再生していく様子を描く。 主人公の田中新助こと半助役を演じるのは、『

    宮藤官九郎企画・監督・脚本『季節のない街』主演は池松壮亮 共演に仲野太賀&渡辺大知
  • 現代的マーダーミステリーの決定版 『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』のすごさに迫る

    好評を博した、ライアン・ジョンソン監督、ダニエル・クレイグ主演のミステリー映画『ナイブズ・アウト』(2019年)の続編である『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』は、前作をもはるかに超えた、現代的なマーダーミステリーの決定版となった。 『ナイブズ・アウト』が、他にはない映画作品となり得ているのは、アガサ・クリスティ原作のオールスターキャスト映画のような、豪華な俳優が次々に出演する作品でありながら、「ネトウヨのクズ(alt right troll dipshit)」などと呼ばれる登場人物に代表されるように、古風なマーダーミステリーの形態でありながら、それに逆行するような現代社会の要素をさまざまに投影しているからだ。 作『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』は、その傾向がさらに強まり、まさに現代そのものを見事に映し出す内容となっている。そして、ここで描かれるのは、作の言葉を借りると「金持ち

    現代的マーダーミステリーの決定版 『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』のすごさに迫る
  • 宇野常寛×福嶋亮大が語る、Web3と批評的言説のこれから 「人類社会の“時差”を意識することが重要」

    WEB3に必要なのは「時差」 福嶋:ところで『砂漠と異人たち』はインターネットの現況への批評でもあるわけですね。 宇野:たとえばWeb3については、僕も単純にワクワクしています。だからこそ、考えることもたくさんある。たとえばこのはWeb2.0への批判から始まっているのですが、その根底にはSNSの普及以降に散見される「こんなはずじゃなかった。僕らのインターネットを取り戻そう」という発想がある。これはまさにWeb3の推進者の問題意識ですね。来は自律分散的なインターネットが、SNSプラットフォームの実現によって、事実上のボトムアップの中央集権になってしまったからです。ブロックチェーン技術を応用することによって、技術的に中央集権を解消し自律分散に近づけるというのがその骨子です。もちろん、それは素晴らしい。しかし、考えてみればそもそもWeb2.0もその当初は十分に自律分散的だったはずです。しかし

    宇野常寛×福嶋亮大が語る、Web3と批評的言説のこれから 「人類社会の“時差”を意識することが重要」
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2022/12/05
    “SNSはたぶん発明しない方が良いでしょう。その失敗は結局、企業に理念がないことと関係している/ウェブが人類にとってどんな意味があるかを検証せずに、ビジネスとか動員の話ばかりになっている。”
  • ジェフ・ブリッジスらが“アメリカの精神”を体現 とにかく“渋い”『ザ・オールド・マン』

    公開初日に記録的な視聴者数を記録し、批評家にも絶賛されているシリーズ、『ザ・オールド・マン~元CIAの葛藤』……タイトルの通り、“オールド・マン(老いた男)”となった元スパイが葛藤するドラマだ。好評を受けて、早くもシーズン2の製作が決定したという。 とにかくこれは、“渋い”……! 渋みを楽しむという意味では、これを超えるドラマ作品は近年なかなか見つけ難いのではないか。何しろ、70代となったジェフ・ブリッジス、70代中盤のジョン・リスゴーという、年配の名優二人が前面に出る作品なのだ。ここでは、そんな“渋い”『ザ・オールド・マン~元CIAの葛藤』の魅力を深掘りしてみたい。 シリーズは、強力な俳優陣以外にも話題となる理由がある。最初の2つのエピソードを監督しているのは、近年の『スパイダーマン』映画シリーズが大きな成功を収め、サスペンス『COP CAR/コップ・カー』(2015年)を撮りあげてい

    ジェフ・ブリッジスらが“アメリカの精神”を体現 とにかく“渋い”『ザ・オールド・マン』
  • 『NOPE/ノープ』に込められたテーマを徹底考察 逆転した“見られる者”と“見る者”の関係性

    映画のはじまりは、フランスのリュミエール兄弟による「シネマトグラフ」の発明からだということは、映画好きの間ではよく知られている。そして“発明王”トーマス・エジソンが、さらにその前身となる「キネトスコープ」を、それ以前に開発していたことも同様だ。さらにまた、エジソンの発明のきっかけを遡れば、エドワード・マイブリッジという人物による有名な連続写真『動く馬』の撮影に行き着く。 ジョーダン・ピール監督の『NOPE/ノープ』は、その『動く馬』に目をつけ、“映画の撮影”そのものを題材にしたホラー映画である。ピール監督の作品は、これまで社会問題を題材とした難解かつ衝撃的な内容によって、絶賛されたり物議を醸してきたが、作では空に浮かぶ“何か”を映し出す大迫力の映像によって、これまでよりも強いエンターテインメント性が話題となっている。 しかし作は、むしろこれまでのジョーダン・ピール作品よりも、さらに過激

    『NOPE/ノープ』に込められたテーマを徹底考察 逆転した“見られる者”と“見る者”の関係性
  • 村田沙耶香が語る、世界に向けて小説を書くこと 「自分にとって都合の悪い作品を作りたい」

    今の自分が見ている現実は、絶対的なものではないかもしれない。村田沙耶香はこれまでも読者の足元をぐらつかせるような小説を書いてきたが、最新作『信仰』(文藝春秋)でもまた、既存の価値観を問い直している。 好きな言葉は「原価いくら?」だという現実主義者の主人公が、同級生からカルト商法を持ちかけられる––。「信じること」に正面から向き合った表題作をはじめ、65歳時点で生きている確率が可視化された世界を描く「生存」など、8篇の小説・エッセイが収録されている。 フェイクニュースや陰謀論が飛び交う現代において、信じるとは一体、どういうことなのか? どのような思いで小説を書いているのか? 村田に今、作家として感じていることを聞いた。(小沼理) 速度の速い正しさが怖い ――表題作の「信仰」を書いたきっかけを教えてください。 村田:知り合いがマルチにハマった時とか、友達がモラハラしてくる人と付き合っていて別れ

    村田沙耶香が語る、世界に向けて小説を書くこと 「自分にとって都合の悪い作品を作りたい」
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2022/07/08
  • “レジェンド”TVアニメシリーズがついに一挙配信 『ザ・シンプソンズ』のハイレベルな魅力

    アメリカのどこかにある町スプリングフィールドに住む、一見平凡な一家“シンプソンズ”が、毎回さまざまな騒動を巻き起こす『ザ・シンプソンズ』。1話完結の内容で、毒のあるユーモアや容赦のない社会風刺が根強い支持を受け、30年もの間継続している、アメリカ最長のTVアニメシリーズだ。 そんな、いまだ健在の「レジェンド」と呼べるシリーズが、ディズニープラスで見放題配信されている。しかも、最近になって新しいエピソードが続々追加されているのだ。シーズン31以降は日初放送となり、現在配信が始まったシーズン32の後も、引き続きエピソードが追加されていく見込みだ。 ここでは、気軽に楽しめるようになったシリーズの内容や特徴を紹介しながら、これまでのファンや、まだシリーズに触れたことのない人に向けて、その魅力を語っていきたい。 日のファンが過ごした“冬の時代” 日の『ザ・シンプソンズ』のファンは、長らく不

    “レジェンド”TVアニメシリーズがついに一挙配信 『ザ・シンプソンズ』のハイレベルな魅力
  • コーエン作品とシェイクスピア作品の意外な親和性 『マクベス』に漂う“本格派”の風格

    ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『マクベス』は、オーソン・ウェルズや黒澤明、ロマン・ポランスキーなど、名だたる巨匠監督たちが映画化を手がけ、映画の分野においても親しまれてきた題材だ。ジャスティン・カーゼル監督によって、2015年にも数度目の映画化を果たしたばかり。その人気の理由は、シェイクスピア悲劇の中では比較的短く、ちょうど一映画作品にしやすいボリュームであるとともに、誰もが認める深い芸術性と、現代にも通じる美学が存在するからだろう。 ここで紹介する、A24製作のApple TV+配信作品『マクベス』を手がけたジョエル・コーエン監督もまた、現代においてキャリアでは巨匠監督の一人に数えられる存在である。優れたセンスで数々の異色作を撮りあげてきた彼が、ついにこの古典に挑戦することとなったのだ。意外なのは、これまで彼とともに「コーエン兄弟」として数々の作品を共同で監督してきた、弟のイーサン

    コーエン作品とシェイクスピア作品の意外な親和性 『マクベス』に漂う“本格派”の風格
  • アニメ『プラネテス』は一生の財産にもなりうる作品だ Eテレでの再放送開始に寄せて

    テレビアニメ『プラネテス』がNHK Eテレにて1月9日より、毎週日曜19時から再放送される。今でもアニメファンから絶賛の声が寄せられ、名作と呼び声高い作品が全国に再放送されることは、放送時から毎週楽しみにしていたファンである筆者としてもとても喜ばしい。今回は『プラネテス』が高く評価される理由について簡単に紹介していきたい。 『プラネテス』は、幸村誠による1999年から2004年にかけて連載された全4巻の同名の漫画作品が原作。2003年にテレビアニメとしてが放送された。監督は『スクライド』や、今作の後に『コードギアス 反逆のルルーシュ』や、また2022年には『ONE PIECE FILM RED』の監督を務めることも発表されている谷口悟朗が務めている。制作スタジオはガンダムなどのロボットアクションの印象も強いサンライズが務めており、ロボットバトルのない作品の制作を担当したことも話題を集めた

    アニメ『プラネテス』は一生の財産にもなりうる作品だ Eテレでの再放送開始に寄せて
  • “真摯”で“真面目”なコメディー超大作 『ドント・ルック・アップ』に感じる現実的な恐怖

    2021年のNetflix最大の映画作品『ドント・ルック・アップ』が配信された。ジェニファー・ローレンスやレオナルド・ディカプリオ、メリル・ストリープ、ケイト・ブランシェット、ティモシー・シャラメ、マーク・ライランスなど、スター、名優が次々に出演する、豪華なSFコメディー超大作である。 監督は、前作『バイス』(2018年)がアカデミー賞作品賞にノミネートされるなど、年々高い評価を獲得しているアダム・マッケイだ。彼の監督作らしく、作『ドント・ルック・アップ』は、現実的な恐怖を感じられる、皮肉な笑いに満ちた過激なコメディーとして楽しめる作品となった。 それにしても作、さすがはアダム・マッケイと言わざるを得ない。ユーモアの連続によって観る者を笑わせながらも、そこでは近年のアメリカや世界の状況における問題の数々が、おそろしいまでに的確に射抜かれているのだ。ここでは、そんな作で表現された問題と

    “真摯”で“真面目”なコメディー超大作 『ドント・ルック・アップ』に感じる現実的な恐怖
  • 『イカゲーム』の世界的ブームにも通じる? 『地獄が呼んでいる』成功の理由

    最近日で、コロナウイルスのパンデミックの病床不足に対して、自治体の首長が命の選択を意味する「トリアージ」を宣言したことで物議を醸したことがあった。また、ある国会議員が列車に乗るときに人身事故が発生し、運行が遅れたことに対する不満をSNSに書き込んだことも問題になっている。現実に誰かの命が失われることに対する、このような麻痺した態度というのは、“人の死”が多かれ少なかれ自分たちにかかわりがあることや、自分に及ぶかもしれないという想像力の欠如からきていると思える。そんな“自己責任社会”は、いつか自分に起きるかもしれない危機や不幸に対応してくれるのだろうか。 われわれ自身もまた、自分や親しい人などに不幸な事態が起こらない限り、社会の中の“起こり得るエラー”としてしか、突然の“人の死”を考えられない場合がある。シリーズで「死の天使」に宣告を受けることで、はじめてその人間の態度や考え方が一変する

    『イカゲーム』の世界的ブームにも通じる? 『地獄が呼んでいる』成功の理由
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2021/12/12
    “われわれ自身もまた、自分や親しい人などに不幸な事態が起こらない限り、社会の中の“起こり得るエラー”としてしか、突然の“人の死”を考えられない場合がある。”