新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐべく、安倍政権が4月8日、ついに緊急事態宣言を発出した。同宣言の法的根拠となる特措法には憲法違反の疑義がある。憲法に緊急事態条項がないにもかかわらず、緊急事態宣言を発出可能にしているからだ。発出の要件にも瑕疵がみられる。危機管理の専門家である福田充・日本大学危機管理学部教授は「今回の危機が収束し平時に戻ったら、従来の感染症法では対処できない危機事態を想定した感染症基本法のような恒久法について冷静に議論すべきだ」と指摘する。 (聞き手 森 永輔) 福田さんは、今回の緊急事態宣言の発出は遅すぎたと評価しています。それは、なぜですか。 福田:今回の緊急事態宣言は「新型インフルエンザ等対策特別措置法」(以下、新型インフル特措法)に基づいて宣言されたものです。この法律は「新型インフルエンザ等感染症」と「新感染症」を対象にする法律。今回の新型コロナウイルスをこの「新感