新型コロナウイルスの感染追跡アプリを流用し、抗議デモを計画した人々を公衆衛生の名の下に軟禁する。これぞ「デジタル監視社会」という事件が中国で起きた。しかも、事件のきっかけとなった銀行のとりつけ騒ぎもあるフィンテック・サービスをきっかけとしており、「デジタル化先進国・中国」の現状を象徴する事件となった。 抗議デモ開催日に健康コードが「赤」表示 河南省鄭州市は6月22日、馮献彬(フォン・シエンビン)鄭州市委政法委常務副書記、市新冠肺炎疫情防控指揮部社会管控指導部部長ら官僚5人に解任などの処罰を与えたことを発表した。 問題となったのは、中国の新型コロナウイルス追跡サービス「健康コード」の濫用だ。このサービスは移動記録、訪問記録、交通機関の利用記録を統合、分析することで、ある住民の感染リスクを緑、黄色、赤の3段階で表示する。地域によってその運用ルールは一部異なるが、原則としては黄色になると一定期間