国内で唯一PHSを手がけるウィルコムが、昨年9月に私的整理のひとつである事業再生ADR(裁判外紛争解決)手続きに入って以来、約5カ月の迷走を経て、法的整理に追い込まれた。しかも、“漁夫の利”で勢力を拡大しようとするソフトバンクを、官民共同出資の「企業再生支援機構」が手助けするという構図を疑問視する声は多く、再建の行方は不透明だ。 ■勢力拡大を手助け ソフトバンクの漁夫の利は、企業再生支援機構が検討してきた支援方針が土壇場になって大幅に変更されたことにも現れている。 当初は支援機構も、ソフトバンクとアドバンテッジパートナーズ(AP)とともにウィルコムに出資する方針だった。 しかし、機構の第三者委員会などで「ソフトバンクの負担を軽減するための支援はおかしい」などと反対意見が噴出し、出資を断念することになった。 最大120億円の融資枠こそ設定したが、「再建そのものは民間に委ねるべきだ」(幹部)と