→紀伊國屋書店で購入 書評がなにやら企画趣意書になってしまう相手 マニエリスム・アートがヴンダーカンマーを諸物糾合という自らの表現意思の最もわかりやすい象徴として展開してきたことは、既に何点かの本に触れて述べてきたが、1990年前後まで主たるマニエリスム研究書は大体ドイツ語圏で出され、英語圏ではマニエリスムが些かなりとも肯定的な意味で普通に使われるということがなかったため、ヴンダーカンマーの歴史が英米にはなかったかのような印象があった。これはとんでもない誤解なので、その辺を一番包括的にしっかりやってくれているリチャード・オールティックの大著『ロンドンの見世物』(〈1〉・〈2〉・〈3〉)を、仲間うちを語らって寄ってたかって完訳した(小池滋監訳、井出弘之・高山宏・浜名恵美・村田靖子・森利夫訳)。 既に周知のところとなったかと思うが、“Wunderkammmer”という語は、英語では“cabin