沖縄・尖閣諸島沖の日本領海内での中国漁船衝突事件をめぐり、中国の温家宝首相が逮捕された船長の即時釈放を公式な場で求めたことで、日本政府は中国との対立が一層深刻化するとして懸念を強めている。 仙谷官房長官らは首脳会談などによる打開策を模索し始めたが、メドは立っておらず、事態は日中双方の我慢比べの様相となっている。 菅首相は22日、国連総会に出席するニューヨーク訪問に先立ち、「日中それぞれの立場で冷静に対応してもらいたい」と首相官邸で記者団に繰り返した。しかし、外務省幹部は同日、温首相の発言について「中国共産党が本気で釈放を求めている表れだ」と危機感をあらわにした。 事件以降、中国政府は対抗措置を一方的に次々と打ち出した。しかし、日本政府側は、12日未明に戴秉国(たいへいこく)国務委員(副首相級)が丹羽宇一郎・駐中国大使に抗議したことで、当面、要人の動きは打ち止めになると見ていた。 だが、今回