就活の時期や入社式の季節になると、いまや風物詩のように話題になる「リクルートスーツ黒一色問題」。若者たちが揃って黒のスーツを着ていることは、彼らの「画一化」の表れとされ、社会の保守化や戦時中の服装統制と結び付けて批判されることもある。だが簡単にそう言ってしまっていいのか。服飾史研究が専門の安城寿子氏はそうした見方に批判的だ。 それ、〈若者劣化言説〉ではないですか? その語り口こそが画一的に思えてならない。どれくらい本気で言っているのか聞いてみたい気もする。そんなに問題だと思うならば、就活学生にではなく、経団連や就活コンサルタントやアパレルメーカーに向けて言ってみてはどうか。 リクルートスーツをはじめとする若者の服装の「画一化」を憂う言説のことだ。 どれもこれも、服装という領域に関わりのある「個性」以外の要素を十分考慮せず、丁寧なヒアリング調査を試みるわけでもなく、「若者たちが似たような服装