ひがし茶屋街ではボランティアらしき男性がお座敷文化のことをいろいろと説明してくれたのだけど、何と言うかこう、独特な雰囲気を持った人だったね。良くいえば貴族的、悪くいえば高慢な感じでさ。「本来であれば一般人は絶対に入ることはできませんよ」ってフレーズを十二秒に一回は話に織りまぜてくるわけよ。おれなんかは、ほら、労働者階級に属する若者だからさ。そういう話をきくとだんだんイライラしてしまったりするわけよ。でも、一方で、「もし家を建てることがあったら、この中庭の造りはぜひとも真似したいもんだなあ……」なんていうプチ・ブル的な心性を発揮してしまったりもして。 そんな日和った態度をプロレタリアートとしてのおれは許さないよね、当然。貧乏人が金持ちの文化に憧れたって空しいだけやろ的なことまでいいだしはじめるわけよ。そしたら、小市民のおれもさ、綺麗なもんを綺麗と言って何が悪いんやって反論するしね。お互い一歩
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