ボクは、ひとを打ち負かすためというより、 自分を守るために、強くなりたいと思った。 中学3年になって、さらにイジメはエスカレートした。 もう、限界だと思った。ひどいイジメだった。 胃潰瘍ができた。毎日毎日、恐怖が続いた。 いまもそのトラウマが残っている。 僕、内藤大助が、ボクシングを始めた理由。 それは、中学のときのイジメだ。 相手に仕返しするためじゃない。自分の身を守るため。 パンチを打つのではなく、相手のパンチをよけるため。 僕は強くなりたいと思った。 たったひとりだけ、僕の異変に気づいてくれた先生がいた。 佐々木先生。 先生がいなかったら、僕はどうなっていたかわからない。 北海道の豊浦町で生まれた。 洞爺湖温泉の隣町、内浦湾に面する小さな町だ。 家は貧しかった。サビだらけのトタン板で囲われた木造二階建て。 窓は木枠でできていたけれど、きっちり閉まらな