誰かとつながりたい、でも、声が出ない。大人になってから病気だと知るまで、人とのつながりを実感できないまま生きてきた男性(31)。話せないために「空気」のように扱われた高校時代、「消えてしまいたい」と思うほど追い詰められた先には、想像していたよりもずっと鮮やかな世界が待っていた。自分の病気への理解とともに、「お面」によって広がった人生。男性のこれまでを振り返る。(朝日新聞デジタル編集部・野口みな子) 【写真】「自分でも人を幸せに…」やっと人生が始まった 女性の「お面」かぶる男性 「いまは、お面は5つ持っています」 少しハスキーな小さな声で話し始めたのは、色白で小柄な男性。女性の着ぐるみ姿で、「ほづみりん」として2012年頃からTwitterやYouTubeで活動を発信している。 「僕の病気の特性上、『マスク』より『お面』という言葉の方が、発音しやすいので」 マスクの呼び方について聞くと、そう