ブックマーク / nix-in-desertis.blog.jp (16)

  • nix in desertis:2024受験世界史悪問・難問・奇問集 その2(早稲田大)

    昨日の続き。日は早稲田大をお届けする。入試は7学部で収録した問題は16問であるが,そのうち2つの学部が10問を占めた(教育と商)。昨年もそうだったが,偏りが激しい。 18.早稲田大 文化構想学部 <種別>難問 <問題>2 設問7 下線部Gの事態は(編註:アメリカ大陸にはそれまで存在しなかった感染症が持ち込まれ,ヨーロッパ大陸にはトウモロコシやトマトなどがもたらされた),アメリカ大陸に到達した航海者の名にちなみ,何と呼ばれるか,記述解答用紙の所定欄に記しなさい。 <解答解説> 盲点事項。歴史好きは当たり前に使っている言葉だが,言われてみると高校世界史にはなかった。正解は「コロンブス(の)交換」。なお,新課程の世界史探究の教科書・用語集には記載されるようになった。フライング出題である。 19.早稲田大 文化構想学部(2つめ) <種別>難問 <問題>3 次の史料は,桑原隲蔵『考史遊記』(岩波書

  • nix in desertis:2024受験世界史悪問・難問・奇問集 その1(慶應大)

    今年も書き上げることができたので公開する。いきなり告知から入るが,もうすぐ4巻が発売する予定なので,お買い求めいただけると幸いです。4巻の校正作業はほぼ終わっているが,この2024年の記事と作業時期が重なったので,今年は少し大変だった。 【速報】突然ですが『絶対に解けない受験世界史4』を出版します! 著者は稲田義智さん@nix_in_desertis です! https://t.co/orMarDPCeo pic.twitter.com/bMYXPPMiss — パブリブ (@publibjp) March 15, 2024 <収録の基準と分類> 基準は例年と同じである。 出題ミス:どこをどうあがいても言い訳できない問題。解答不能,もしくは複数正解が認められるもの。 悪問:厳格に言えば出題ミスとみなしうる,国語的にしか解答が出せない問題。 → 歴史的知識及び一般常識から「明確に」判断を下せ

  • nix in desertis:2023受験世界史悪問・難問・奇問集 その1(慶應大)

    今年も無事に公開に至ることができた。3巻が好評発売中なので,過去の年度,特に早慶・国公立以外を見たい方はぜひお買い求めください(初手宣伝)。 <収録の基準と分類> 基準は例年と同じである。 出題ミス:どこをどうあがいても言い訳できない問題。解答不能,もしくは複数正解が認められるもの。 悪問:厳格に言えば出題ミスとみなしうる,国語的にしか解答が出せない問題。 → 歴史的知識及び一般常識から「明確に」判断を下せず,作問者の心情を読み取らせるものは,世界史の問題ではない上に現代文の試験としても悪問である。 奇問:出題の意図が見えない,ないし意図は見えるが空回りしている問題。主に,歴史的知識及び一般常識から解答が導き出せないもの。 難問:一応歴史の問題ではあるが,受験世界史の範囲を大きく逸脱し,一般の受験生には根拠ある解答がまったく不可能な問題。記事で言及する「受験世界史の範囲」は,「山川の『用

  • nix in desertis:『「センター試験」を振り返る』を読む(1)論考編

    ・『「センター試験」を振り返る』(大学入試センター,2020年) 気づいていなかったのだが,令和2年(2020年)12月,翌月に最初の共通テスト試験を控えたタイミングで,大学入試センターが『センター試験を振り返る』というを発行していたことに先日気がついた。インターネット上で公開されているので,誰でも閲覧可能である。これがけっこう面白い。以下,気になった点を羅列しておく。長くなったので記事を2つに分け,(2)は明日更新する。 p.45から始まる論考1「ボーダレス化する高大接続」。高大接続の難しさは高校教育と大学教育の大きな違いに起因し,欧米諸国ではその接続期間として予備教育期間がとられる(ただし欧州では進学予備課程として中等教育の末期に,アメリカでは大学学部教育に置かれていてタイミングが異なる)。日の場合はアメリカの制度に近いものの,実際には学部学科がおおよそ決まった状態で入学するため

  • nix in desertis:信用できる(&好みが近い)美食家はありがたい

    ・タケマシュラン → あるネット上の事件を契機に知ったブログ。べログ投稿者では有名らしい。各サイトにそれぞれ有名人はいるものだ。 → 高級店のレビューが多いが,意外と値段が4桁前半の店も登場する(そしてそういう店は値段を記事中に書いていてくれる)ので探しがいがある。たとえば成城石井で買うものという記事もある。一品一品のレビューがしっかりしていて味が想像しやすい。旅先の飲店探しでは私はGooglemapを使っているが,多くのレビューの平均値よりも,一人のしっかりしたレビュアーの評価が一番信用できるというのが最近の実感である。Googlemapでは長野県・岐阜県に限定して極めて信用できるレビュアーを見つけたので非常に助かっている。はてブだとzaikabouさんとnanoha3さんは信用している。 → その意味では,タケマシュランでレビューされている店はまだ一度も行ったことがないので,好みの

  • nix in desertis:高校世界史における中世・近世の「琉球王国」問題

  • nix in desertis:大学入学共通テストの第二日程騒動について

    ・大学入学共通テスト 来年1月16日から予定どおり実施へ 文科省(NHK) ・共通テ、校長判断で第2日程選択(共同通信) 情報を整理すると, ◯通常の共通テストは1/16-17で実施。浪人生は原則として全員こちらで受験。 ◯第二日程として1/30-31でも実施。基的には通常日程で受験できなかった人のための追試だが,現役生に限り,通常日程を回避してこちらを試に選択可能。ただし,「新型コロナウイルスによる休校等で学習が遅れたため」という理由に限られ,第二日程を試験に選択するためには所属高校の校長の許可が必要。 ◯さらに特例追試験として2/13-14でも実施。第二日程を試験として出願したが,「新型コロナウイルスに感染した」等の理由で受験できなかった人のみが受験可能。ただし,特例追試験の問題は共通テスト型ではなく,旧来のセンター試験型になる。 ということになる。つまり,現役生は第一日程を

  • nix in desertis:高校世界史における中世・近世の「琉球王国」問題

    久々の高校世界史深堀りシリーズ。先日Twitterでこんなアンケートを取った。回答してくれた方々はありがとうございます。 ちょっと気になるので,アンケートをとってみたい。知っている人は知識で,知らない人は調べずにイメージでお答えください。 琉球王国の最盛期はいつ?(最盛期の定義が曖昧ということであれば,万国津梁の鐘の作られた時期をお答えください) — DG-Law/稲田義智 (@nix_in_desertis) June 3, 2020 正解は万国津梁の鐘の制作年が1458年なので,一番上の「1429年〜16世紀前半」が正しい。実際に琉球王国の最盛期はこの時期であるというのが一般的な認識であろう。後述の理由から正解者は少ないだろうと思っていたのでそこはあまり驚きがなかったのだが,こんなに綺麗に解答が割れたのは予想外だった。琉球王国の盛衰については,Call of Histroryさんの次の

  • nix in desertis:2020受験世界史悪問・難問・奇問集 その2(早稲田大)

    日は早稲田大。見どころは22番の教育学部の問題と,30番の政経学部の問題。どちらも受験世界史に残る問題となったと思う,それぞれ違う意味で。 14.早稲田大 文化構想学部 <種別>難問 <問題>設問2 下線部B に関連し(編註:原人が現れ,アフリカ大陸の外へと拡散した),19世紀にジャワ島トリニールで化石人骨を発見した人物は誰か。次のア〜エの中から一つ選び,マーク解答用紙の所定欄にマークしなさい。 ア デュボワ   イ シーボルト   ウ ヘッケル   エ シュレーゲル <解答解説> 早稲田の文学部と文化構想学部は伝統的に古代オリエントと先史の出題が多く,ここ十年ほどは古代オリエントが続いていたが,2020年は先史が舞い戻った。シーボルトを削って3択からは絞れまい。正解はアのデュボワ。ヘッケルはドイツの生物学者で,海産の無脊椎動物の研究で有名らしい。シュレーゲルは有名人が多いのだが,シーボ

  • nix in desertis:2020受験世界史悪問・難問・奇問集 その1(上智大・慶應大)

    今年も無事に公開に至ることができた。協力してくれる方々に感謝を申し上げたい。今年は通常の校正者以外の手も借りないといけなくなるような問題もなく,比較的スムーズに進行した。 <収録の基準と分類> 基準は例年とほぼ同じである。 出題ミス:どこをどうあがいても言い訳できない問題。解答不能,もしくは複数正解が認められるもの。 悪問:厳格に言えば出題ミスとみなしうる,国語的にしか解答が出せない問題。 → 歴史的知識及び一般常識から「明確に」判断を下せず,作題者の心情を読み取らせるものは,世界史の問題ではない上に現代文の試験としても悪問である。 奇問:出題の意図が見えない,ないし意図は見えるが空回りしている問題。主に,歴史的知識及び一般常識から解答が導き出せないもの。 難問:一応歴史の問題ではあるが,受験世界史の範囲を大きく逸脱し,一般の受験生には根拠ある解答がまったく不可能な問題。記事で言及する「

  • nix in desertis:2018受験世界史悪問・難問・奇問集 その1(上智大・慶應大)

    昨年に2巻を発売して一区切りつき,業も計画的に仕事を進めた結果,それなりに余裕ができたので,年は全編公開とすることができた(追加で少し日史までできた)。協力してくれている校正者の皆さんにも感謝したい。 ・収録の基準と分類 基準は例年とほぼ同じである。 出題ミス:どこをどうあがいても言い訳できない問題。解答不能,もしくは複数正解が認められるもの。 悪問:厳格に言えば出題ミスとみなしうる,国語的にしか解答が出せない問題。 → 歴史的知識及び一般常識から「明確に」判断を下せず,作題者の心情を読み取らせるものは,世界史の問題ではない上に現代文の試験としても悪問である。 奇問:出題の意図が見えない,ないし意図は見えるが空回りしている問題。主に,歴史的知識及び一般常識から解答が導き出せないもの。 難問:一応歴史の問題ではあるが,受験世界史の範囲を大きく逸脱し,一般の受験生には根拠ある解答がまった

  • nix in desertis:受験世界史悪問・難問・奇問集 ver.2016 その1(上智大・慶應大)

    今年の分もなんとか書き上がったので,お届けする。 ・収録の基準と分類 基準は例年とほぼ同じであるが,新課程になったので用語集の収録語・頻度が大きく変わった。その点は変更がある。 出題ミス:どこをどうあがいても言い訳できない問題。解答不能,もしくは複数正解が認められるもの。 悪問:厳格に言えば出題ミスとみなしうる,国語的にしか解答が出せない問題。 → 歴史的知識及び一般常識から「明確に」判断を下せず,作題者の心情を読み取らせるものは,世界史の問題ではない上に現代文の試験としても悪問である。 奇問:出題の意図が見えない,ないし意図は見えるが空回りしている問題。主に,歴史的知識及び一般常識から解答が導き出せないもの。 難問:一応歴史の問題ではあるが,受験世界史の範囲を大きく逸脱し,一般の受験生には根拠ある解答がまったく不可能な問題。記事で言及する「受験世界史の範囲」は,「山川の『用語集』に頻度

  • nix in desertis:新々課程の「歴史総合」について

    2022年からの高校教育課程について,社会科の科目の抜的改革が提唱されている(リンク先は日経新聞)。今回提言されているのは「歴史総合」「公共」「地理総合」の設置である。これらに対する解説と評価は,一応の歴史教育系ブロガー(?)として論じておかねばなるまいと思ったが,書いていたら長くなったので,前後編に分けることにした。先に結論だけ書いておく。 ・「歴史総合」は実態として機能するかが大きく運用と「新テスト」にかかっており,受験科目化するなら評価できる。 ・「地理総合」はおそらく実態としてあまり機能しないが,設置意義は評価できる。 ・「公共」は発案した奴誰だよ。無駄の極みだよ。 この前編では歴史総合について扱う。「歴史総合」は,世界史と日史の近現代史部分のみを扱う科目である。これは現行の制度崩壊に関する議論から生まれた発想だが,その制度崩壊を説明しておきたい。 現行の高校地歴科の必修は,「

  • nix in desertis:新々課程の社会科全般について

    前回の議論の続き。今日の議題は残りの「地理総合」と「公共」だが,先に「地理総合」から取り上げる。地理総合は地理Aを改変して設置する必修科目(予定)だが,この科目が出てきた事情は,現在の地理Aおよび地理Bの置かれたちょっと特殊な状況から振り返らなければならない。 まずデータから見てみよう。平成27年度センター試験(試)の受験者数は地理Bで146,846人,地理Aで1,843人であった。地理Bの受験人数は昨日の記事で紹介した世界史Bの受験人数(84,053人)よりもよほど多い。これでなんだ人気あるじゃないかというのは早計で,実は地理Bの受験者の大半は理系である。どういうことか。地理Bは,同格の世界史や日史に比べると暗記量が圧倒的に少ない。用語数がおおよそ半分しかないというのが界隈の定説である。特にセンター試験はその傾向が強く,用語を暗記していないとどうにも解けないという問題が少ない。だから

  • nix in desertis:2015年度センター試験地歴の「やらかし」について

    まさかセンター試験で「悪問集」に入れなくてはならないようなミスが出るとは思ってもなかったが,出たものはしょうがない。しかし,マスコミの報道では説明が面倒くさいからかミスの内容が詳しく解説されておらず,各予備校でも所詮100点満点の3点分であるせいか,大きく取り上げられていない。そして受験生の間での噂話では情報が錯綜していて混乱しており,あまり良い状態とは言えない。そこで,ブログで取り上げて問題点を整理しておく。取り急ぎの超音速で書いているので,この解説自体に誤植があったり,後から追記のあったりするかもしれないが,糾弾目的で書いている記事ではないので,ご容赦いただきたい。なお,直接の出題ミスが出たのは世界史Bのみだが,日史Bでもやらかしているので,表題は「地歴」としておいた。これについても一応触れる。 1.センター試験世界史B〔試〕 <種別>出題ミス(複数正解) <問題>第4問 問8 

  • nix in desertis:『絶対に解けない受験世界史 (大学入試問題問題シリーズ)』が出ます

    以下,書の紹介をFAQ形式で。 よくわかる! 『絶対に解けない受験世界史 ―悪問・難問・奇問・出題ミス集』FAQ Q.どういうなの? 何が目的なの? A.サブタイトルの通り,大学入試における悪問や超難問,出題ミスを収録・解説したです。気で難しくて解けない問題から,日語の崩壊した問題,単なる誤植,笑える問題など,多岐にわたって収録しています。 1.入試問題作成の杜撰さを世の中に訴えること 2.出題ミスの事例を集めて,出題者へ提供すること 3.悪問を笑い飛ばして当時の受験生の無念を供養すること 4.世の中の世界史マニアに難問を提供すること を主な目的としています。 Q.どんな問題が収録されてるの? A.帯に入れた例を引用しますと, ・p.37:青磁か白磁問いながらも問題用紙はモノクロプリント(早稲田大 文学部 2014年) ・p.65:大学教授自らが書いた学術論文のテーマを入試問題に

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