医薬品や再生医療製品などの有効性や安全性を確かめるために不可欠なのが臨床試験だ。そのやり方がずさんだと、本来の目的が達成できないか、結果の信頼性が揺らいでしまう。「賢い選択」の新シリーズ4回目は、試験のあり方を巡って批判の出ている脊髄(せきずい)損傷の新治療を取り上げる。 ●「再生医療で改善」 事故などで脊髄を損傷した患者の、失われた運動や知覚の機能を回復させるため開発された再生医療製品「ステミラック」。2019年5月放送のテレビ番組で、脊髄損傷で手足がほとんど動かなくなった患者にステミラックを投与し、翌日には車椅子をこげるまでに回復した姿を取り上げた。番組で医師は「神経は一回やられると治らないということだったが、それが可能だと分かった」と効果を強調した。 ステミラックは札幌医大とニプロが開発し、18年12月に製造販売の承認を国から得た。治療では、患者の骨髄液に含まれる「間葉系幹細胞」を採