社会学者の岸政彦氏が朝日新聞に財政問題に関するエッセイを寄せている*1。学者が書いたとは思えないポエムなのだが、要約すると財政赤字を出せば緊縮財政をとらなくて良いのに、行政がその管理対象への支配力を強めるために、「お金がない」と国民を騙して緊縮財政をとっていると言う陰謀論を展開している。短い文だが無知と誤解と詭弁に満ち溢れているので、気づいたところを指摘したい。 1. 財政赤字はインフレを誘引し、経済厚生を悪化させうる 「国債を発行しすぎると、誰に叱られるんだろうか」「財政が赤字だからもう政府はお金を出しませんよ、という考え方によって、誰か得をするひとがいるのだろうか」と、財政赤字無問題説を唱えているのだが、経験的、理論的に財政赤字は高インフレにつながる事が示されている*2ので心配されている。なお、現在進行中のベネズエラのケースを追いかけて欲しいのだが*3、経済成長率や失業率を見ても、所得