タグ

ブックマーク / business.nikkei.com (175)

  • ロード・トゥ・ザ・提灯持ち

    自民党の丸山和也参議院議員が、2月17日の参院憲法審査会で「黒人奴隷が米大統領になった」という旨の発言をしたということで、ちょっとした騒ぎになっている。(こちら) はじめにお断りしておくが、私は、丸山議員のこの発言を、今回の原稿の主題に据える気持ちは持っていない。 最初にこの発言のニュースを引いたのは、ほかの政治家の問題発言と対比するためだ。 私は、ここしばらく頻発している政治家による不穏当な発言と、それらの発言に関するそれぞれの報道のトーンに、釈然としないものを感じている。今回はそれらの「失言の伝えられ方」を見比べてみることでメディアの役割について再考してみたいと考えている。 丸山議員の発言は、問題外の軽率な発言だ。 「どこから突っ込んで良いのやら」 というヤツだ。 なにより、「黒人の血を引く」「奴隷ですよこれは」といったあたりの言葉の選び方に無神経さが露呈している。 昭和の時代ならいざ

    ロード・トゥ・ザ・提灯持ち
  • 育休は権利か義理チョコか?

    今年はバレンタインデーが日曜日にぶつかるため、関連業界は、オフィスで配られるいわゆる「義理チョコ」需要が減少することを懸念しているのだそうだが、一方、育児休暇を申請する方針を明らかにしていた国会議員に不倫疑惑が発覚して、育休をめぐる議論そのものが雲散霧消しつつある。 この二つの話題は、一見、関係の無い、別の出来事だ。が、私の見るに、両者の間には通底する何かがある。今回は、バレンタインデーと育児休暇を結びつけるわれわれの対人感覚のめんどうくささについて書こうと思っている。こじつけだと思う人もあるだろうが、デキの良いこじつけは世界を動かすことができる。というよりも、バレンタインデーをめぐる商習慣自体、こじつけからスタートしている。 バレンタインデーに女性から男性にチョコレートを贈る習慣が定着したのは、そんなに古い話ではない。私は、バレンタインという言葉が、まだほとんど誰にも知られていなかった時

    育休は権利か義理チョコか?
  • 「清原」に見える我らの痛ましさ

    元野球選手の清原和博氏が……と、一行目の冒頭のフレーズをタイプした時点で、その「元野球選手の清原和博氏」という主語のなんとも言えない据わりの悪さに気持ちをくじかれている。 誰もが知っている有名な誰かが厄介な事件に巻き込まれると、いつも同じ問題が表面化する。 私たちは、事件の渦中にある人物をどういう名前で呼ぶべきなのか、毎回、頭を悩ませる。 基的な前提として、わが国のマスメディアでは、いわゆる「公人」の名前を、敬称を略した「呼び捨て」で表記するならわしになっている。 まず、この点から考えてみよう。 清原元選手が現役の野球選手であった時代は、どの新聞も 「8回裏、清原の打ったセンター前タイムリーが…」 と、彼の名前を敬称略で表記していた。 テレビのアナウンサーも、 「清原の白スーツが…」 などと、むき出しの苗字だけで呼びかけるのが通例だった。 呼び捨て呼称には、おそらく、二つの意味がある。

    「清原」に見える我らの痛ましさ
  • 辞任まで“あまり”に強気だった理由

    以前にも書いたことがあると思うのだが、私は、「政治とカネ」というこの決まり文句を耳にする度に、微妙にイライラした気持ちになる。理由は、「政治とカネ」が、具体的に何を指し示しているのかについて、この見出しは、結局のところ、何も説明していないからだ。 そもそも、「政治とカネ」というこのフレーズは、抽象名詞を二つ並列させただけのもので、ひとつの文として完結していない。 「花と蝶」 「酒と涙と男と女」 「部屋とワイシャツと私」 「オレとお前と大五郎」 「ネギとイモ」 「木村と中居」 これらは、実のところ何も語っていない。 それぞれの単語がもたらすそれぞれの映像と、関係を匂わせる物語の予感と、余情と余韻と余白以外には、何も伝えていない。 主語も述語も無い。 言わばポエムの断片に過ぎない。 にもかかわらず、二つの名詞を一音節の接続詞でつなげただけの成句である「政治とカネ」は、深い含蓄のあるヘッドライン

    辞任まで“あまり”に強気だった理由
  • カナリヤたちの謝罪中継

    この月曜日の夜、フジテレビが通常の編成を急遽変更して全国放送したSMAPの面々による謝罪の生中継は、平均で31.2%、瞬間最高で37.2%の視聴率を記録したのだそうだ(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。 昨今の地上波放送の数字としては、異例の高視聴率だ。それだけ、視聴者の関心が高かったということなのだろうが、私の見るに、この数字のもうひとつの意味は、テレビの役割が、既に「そういうもの」を映す方向に変化しているということだと思う。 「そういうもの」とは、具体的には「生謝罪」のことだ。 21世紀のテレビは、「歌」や「芸」や「ニュース」や「ドラマ」のような「作り手が手間をかけて作りこんだ表現や作品」よりも、テレビタレントや犯罪被害者による「素」の「会見」や「謝罪」のような、「生身の人間の赤裸々な個人情報」を映し出すことに重心を移しつつある。良いことなのか悪いことなのかはわからない。ただ、われわれは

    カナリヤたちの謝罪中継
  • 4割弱の男性が、「1人外食」に苦手意識

    仕事で訪れた街で腹をすかせて真剣にメシ屋を探す雑貨商(「孤独のグルメ」)や「ご常連」と言葉をかわしつつ杯を重ね夜の街に消えていくイラストレーター(「吉田類の酒場放浪記」)。オヤジがひとりで事をしたり酒を飲んだりするだけのテレビ番組がこんなにウケる国も珍しかろう。ひとりメシ、ひとり酒は、「孤独のグルメ」風に言えば「現代人に平等に与えられた最高の癒し」としてすっかり社会に定着したように見える。 だが、実態は少し違う。筆者は、『ひとり外術』(弊社刊)という書籍の出版に当って、都内で働く数多くの20代~50代男女にひとり外事情を取材した。そこで何度も耳にしたのが「実はひとりで店に入るのが苦手なんです」という告白だった。 意外に少ない「ひとり飯OK」 若い女性だけではなく、40~50代の男性からも、「ランチはいつも職場の同僚と一緒」「ひとりで店に入って晩メシをったことがない」「出張のときはコ

    4割弱の男性が、「1人外食」に苦手意識
  • 宝くじで1億円以上当たった人の末路

    宝くじで1億円以上当たった人の末路
    morobitokozou
    morobitokozou 2016/01/07
    講釈師見てきたような嘘をつき
  • 目に見えないものに幸いあれ

    漫画家の水木しげるさんが亡くなられた。 はじめにお断りしておくが、私は、水木マンガの熱心な読者ではない。それ以前に、マンガというジャンル全般に対して、不案内でもある。 同世代の出版業界人の標準からすれば、「あきれるほどマンガを読んでいない人間」に分類されるはずだ。 なので、この分野にはなるべく口を出さないようにつとめてきた。 これまでに何度か思いつきを口走って痛い目を見ている。 なんというのか、マンガに詳しい人たちから見ると、読み齧りの素人がいきなりきいたふうな口をきくことは、しみじみと腹の立つ出来事であるようなのだ。気持はわからなくもない。おそらく、問題は、私の論評が当たっているかどうかではなくて、冒頭の3ページぐらいのところを読んで、いきなり感想を述べはじめる軽薄さがしゃくにさわるのだと思う。 「火の鳥ってさ」 「お前、全巻読んだのか?」 「ん? 全巻って、そんなに何冊もあったっけ?」

    目に見えないものに幸いあれ
  • 「超法規的な正義の暴力」について

    新潟県の地方紙「新潟日報」上越支社の報道部長が、ツイッターに「闇のキャンディーズ」という名前で、新潟水俣病3次訴訟の原告側弁護団長の弁護士を中傷する書き込みをしていた事件が話題になっている。 はじめのうちは、よくあるネット上の炎上騒ぎの延長に見えた。それが、全国紙の記事になり、NHKをはじめとする地上波のテレビ局がニュース枠で伝える事態となって、現在では全国レベルのニュースに化けている。 「新潟日報」が自ら報じた続報によれば、新潟日報社は、同社の報道部長(53)がツイッター上で新潟市の弁護士を中傷する書き込みをしたとして、10月25日付けで同社上越支社報道部長の職を解き、経営管理部付けとする人事を決めた。さらに過去の書き込みなどについても調べた上、一両日中にも社としての対応を決定し、公表する意向だという(こちら)。 事件の外形だけを見ると、これは、ある新聞社の社員が引き起こした暴言事件

    「超法規的な正義の暴力」について
  • お花畑は燃えているか

    パリで起こった同時多発テロ事件の衝撃は一瞬のうちの世界中を駆け巡った、というこの書き出しの一行の文体は、なんだか、夕方の民放の情報番組がBGM付きで配信している扇情的なニュース原稿のコピペみたいだ。 実際に、あの事件以来、国際社会の空気は切羽詰まった調子のものに変貌している。 私は、911のテロ事件を受けた半月ほどの間に、アメリカ発のニュース映像の基調がいきなりハリウッドっぽくなったことを思い出している。 ついでにと言っては何だが、東日大震災が起こった後に、私たちの国のメディア状況や世論のあり方が、なにからなにまですっかり変貌してしまったいきさつにも思いを馳せざるを得ない。 世界を世界たらしめているのは、平時の人間の日常的な思想だ。 が、歴史を新しい段階に追いやるのは、非日常のアクシデントだ。 天災や、事故や、組織犯罪や、無慈悲なテロや、偶発的な国境紛争や、狂気に駆られた人間が引き起こす

    お花畑は燃えているか
  • 安倍政権支持率回復の理由(小田嶋隆):日経ビジネスオンライン

    11月のメディア各社の世論調査が出揃った。 結果を見ると、内閣支持率については、どこの社が調べた数字を見ても、一様に上昇していることがわかる。 設問に使われている文言に微妙な違いがあるからなのか、あるいは、回答者が調査元の名前を意識してその都度態度を変えるからなのか、毎回、この種の世論調査の結果は、会社ごとに異同がある。 とはいえ、はじめからある程度のバイアスがあることを差し引いて数字を見比べてみると、変化の傾向そのものは、どこの社のものを見ても、ほぼ一致している。つまり、内閣支持率は8月を底に回復に転じており、特に11月上旬に実施した調査を見ると、どこのものを見ても前月分に比べて1%から4%程度上昇している。 各社の調査結果間に見られるい違いは、当稿の主題とは別の話になる。興味深い話題ではあるが、ここでは掘り下げない。 今回、各社の調査の中で共通している傾向、すなわち「安倍政権の支持率

    安倍政権支持率回復の理由(小田嶋隆):日経ビジネスオンライン
  • あっぱれ、菊池桃子

    3月に骨折した右足は順調に回復している。 レントゲン写真を見ると、関節内の陥没していた部分の骨も、ほぼ元に戻っている。 あとは、関節の可動域が拡大して、膝周りの筋力がつけば、以前と同じように自在に走れるようになるはずだ。 現状では、まだそこまでは行かない。 痛みは無い。 関節の柔軟性も、正座は無理なものの、あぐらはかけるようになったし、日常生活には不自由しない程度までには回復している。 10月からは自転車にも乗れるようになった。 乗り降りの際に若干の不自由(←またがってからでないと走り出せません)はあるものの、ペダルを踏んで走ることに関しては、骨折以前とまったく変わらない。長距離にも対応できる。自転車は、患部に大きな負担をかけずに運動できるので、助かっている。 膝周りの筋力は、十分に回復していない。 靭帯が断裂していることもあって、安定性も怪しい。 なので、まだ走ることはできない。 階段の

    あっぱれ、菊池桃子
  • 野球は冒涜されたのか

    読売巨人軍所属の複数の野球選手が野球賭博に関与していたことが発覚した。 全容はまだ明らかになっていない。というよりも、現在明らかになっているのが「全容」のうちのどの部分で、把握できていない残余がどれほどの規模であるのかについて、われわれは何も知らない。 現時点で報道されている内容をまとめると、賭博行為を行っていたのは、巨人軍の福田聡志選手、笠原将生選手、松竜也選手の3人で、いずれも投手だ。ほかの球団の選手がかかわっているかどうか、また、巨人軍のほかの選手の中に野球賭博をおこなっていた者がいるのかどうかはわかっていない。 野球賭博への関与が報道された3人は、いずれも「野球賭博常習者」とされる「知人男性」を介して、高校野球およびプロ野球の複数の試合に現金を賭けていたと言われている。福田、笠原両選手については、バカラやマージャンを通じた「野球賭博常習者」との深い付き合いも明らかになっている。

    野球は冒涜されたのか
  • やけ酒を呷る覚悟はあるか?

    10月1日を期して、防衛庁の外局として「防衛装備庁」という新たな役所が発足することが、15日の閣議で決定したのだそうだ。 《1800人体制で防衛装備品の研究開発や調達、輸出を一元的に管理し、コストの削減を図る。自衛隊の部隊運用業務は自衛官中心の統合幕僚監部に集約し、内部部局の運用企画局は廃止する。中谷防衛相は記者会見で「新たな組織の下で、防衛省・自衛隊がより能力を発揮し、適切に任務を遂行できるようになる」と語った。》 と、読売新聞は書いている(こちら)。 なるほど。 不意打ちをらった気がしているのは、単に私の現状認識が甘かったということなのであろう。 思えば、つい1週間ほど前、日経済団体連合会(経団連)が、武器など防衛装備品の輸出を「国家戦略として推進すべきだ」とする提言を公表したというニュースが伝えられたばかりだった。 経団連がまとめた「提言」の具体的な内容は、こちらで読める(「防衛

    やけ酒を呷る覚悟はあるか?
  • ヘビメタ再来、日本発・世界のアイドル「ベビーメタル」

    BABYMETALのメンバー。SU-METAL(中央)、YUIMETAL(中央右)、MOAMETAL(中央左)、ライブ演奏を支える「神バンド」が背後に並ぶ ©Amuse Inc 「BABYMETAL(ベビーメタル)」というグループをご存じだろうか。17歳のSU-METAL(中元すず香)、16歳のYUIMETAL(水野由結)、MOAMETAL(菊地最愛)という3人の女性から成る。「アイドル」「カワイイ」といった日発の文化と、欧米を中心に世界的に根強い人気を集める音楽ジャンル「ヘビーメタル」との「融合」をコンセプトに2010年に結成された。 実はこのベビーメタルは、今、世界の音楽シーンで最も注目を集めている日音楽グループなのである。パフォーマンスのレベルの高さやコンセプトの斬新さが高く評価されており、特に海外では「アイドル」という枠組みでは捉えられなくなっている。その人気の秘密を探ると、

    ヘビメタ再来、日本発・世界のアイドル「ベビーメタル」