戦争、差別、デマ、ジェンダー不平等、貧困、環境問題――私たちが生きる世界は、さまざまな課題に直面している。問題の存在は多くの人々に共有されているにもかかわらず、日本では、それらに対する声が少ない。この傾向は、「表現」を生業とする音楽業界においても例外ではなく、そうした状況に抗い、積極的にアクションを起こしているのが、音楽プロデューサーの松尾潔だ。 SNSでは政治や社会問題について継続的に発信し、2025年から始まったソーシャルアクション「デマと差別が蔓延する社会を許しません」では呼びかけ人の一人として名を連ね、街宣活動でマイクを握る。その姿勢は、日本の音楽業界において異質な存在だ。 タブーを恐れず正面から問題に向き合う松尾に対し、「彼は特別だから」と距離を取るのは簡単だ。また、「声を挙げることはコスパが悪い」と冷笑すれば、自らの立場に一時的な安堵を見出すこともできるだろう。ただ、そうした態

