インターネットの会員制交流サイト(SNS)で自分に成り済ました人物を特定するため、中部地方の四十代男性がプロバイダーに情報開示を求めた訴訟の判決で、大阪地裁が、他人に成り済まされない権利を「アイデンティティー権」として認めたことが分かった。 SNSでは、ネット上の匿名性を背景に、他人名義のアカウントを作って成り済ました人物が勝手な発言をするなどの被害が問題化している。新たな権利が定着すれば、このような行為の防止や早期被害回復が進むとみられる。原告代理人の中沢佑一弁護士によると、こうした権利を認めた司法判断は初。判決は二月八日付で、被害に遭った期間が短かったことなどを理由に、請求自体は棄却。男性は控訴している。 佐藤哲治裁判長は、原告の主張に沿う形で、アイデンティティー権を、他人との関係で人格の同一性を持ち続ける権利だと定義。成り済ました人物の発言が、本人の発言のように他人から受け止められて