→紀伊國屋書店で購入 母親にとって娘はもっとも近しい同性、つまりいちばんの批評家なので、女の人が母親について書いたものを読むのは楽しい(息子のそれはあまり読みたくないが)。わけてもこの、娘・洋子の書いた母・シズコさんのおはなしは格別である。 それにしても、なんと猛烈な書きっぷりだろう。母とは慈愛に満ちているものと思い込んでいる人が読めば、シズコさんという母親はきっと鬼にみえると思う。 妹が「私母さんの手紙の『母より』って字を見るのが、すごーく嫌だ、気持ちが悪い」と云ったので、「えーあんたも。やだね、あの『母より』って字見ると手紙読みたくなくなる」そして読まない時もあった。 この姉妹の会話ひとつとっても、シズコさんがどんな母親、どんな女性であったのかがよくわかる。 身ぎれいで、戦後のモノのない時代でも化粧をし口紅を塗り、いつも実年齢より若くみられていたシズコさん。客好きで、おいしい料理を手早