本年も宜しくお願い申し上げます。 - 昨年末、前野直彬の著作を古本と新本とで一冊ずつ購った。古本は『蒲松齢伝』(秋山叢書1976)、新本は文庫化されたばかりの『漢文入門』(ちくま学芸文庫)である。 『蒲松齢伝』は、相田洋『シナに魅せられた人々―シナ通列伝』(研文出版2014)に、平井雅尾について書かれた数少ない文献のひとつとして引用されている(p.351)*1ので気になっていたところだった。 『漢文入門』は、元本(講談社現代新書、1968年刊)を古書市などで見かけたことはあるが、手に取ってじっくり見た記憶はない。しかし、今回の文庫化に際して附された「解説」(齋藤希史氏)に、「本書は、いま盛んに行われる訓読論の先駆となる著作である」(p.210)とあるのを見て、迷わず購入を決めたのだった。 いかにも、この本の一番の読みどころは第四章の「訓読の歴史」であろう。それだけでも「『漢文』入門」として