経済人類学者の栗本慎一郎さん(70)は、13年前の衆院議員時代、脳梗塞で倒れました。左半身がまひする重い後遺症が出ましたが、現在は執筆をはじめ社会活動を再開しています。何にでも楽しさを見いだす前向きな気持ちで、つらいリハビリの期間を乗り切りました。(磨井慎吾)メディアの寵児 「人生の転機ってね、僕の場合は思い返すとたくさんあるんだ」 愛称は“クリシン”。1980年代から90年代にかけては、テレビや雑誌、新聞などに出ずっぱり。メディアの寵児(ちょうじ)だった。 最初は、気鋭の法社会学者として出発した。広く世に知られるきっかけとなったのは、明治大助教授だった昭和56年に刊行した人間論「パンツをはいたサル」。動物行動学に始まり、経済学、法学、宗教学など多分野の学識を駆使しながら、軽妙洒脱(しゃだつ)な文章で人間だけが持つ要素である法や貨幣、国家の起源を論じる。80年代に流行した思想の潮流「ニュー