ときは2008年6月11日午前9時。ところは新潟県新潟市高島屋。 佐藤康光棋聖・棋王(2冠)に、羽生善治王座・王将(二冠)が挑戦する第79期棋聖戦が、今日ここで開幕した。 将棋界最高峰の2人の世紀の対決を、2つの最高頭脳が火花を散らす現場に身を置き、観て、報告するために、シリコンバレーから日本にやってきた。今回は、本当に、そのためだけに。日本を離れて早14年になるが、仕事抜きで日本にやってきたのは、これが初めてのことである。 半年ほど前のこと。産経新聞の元旦紙面用に行った佐藤康光棋聖とのお正月対談を終え、その緊張がほどけ、くつろいだ雰囲気になったとき、佐藤さんから、「梅田さん、今年の棋聖戦をぜひ観にいらっしゃってください。それでネット観戦記を書いてくださいよ」と言っていただいた。 私は、将棋への愛着、将棋を観ることにかけての情熱にはかなり自信があるのだが、将棋を指すことからはもう20年以上
将棋名人戦は今年第66期であるが、第1期名人戦は昭和10年6月の花田長太郎八段対金子金五郎八段戦から、昭和12年2月の木村義雄八段対花田長太郎八段戦まで、足掛け三年の歳月をかけた「八段特別リーグ戦」(9名の八段<土居、大崎、金、木見、花田、木村、金子、萩原、神田>の先後総当り、二日制・持ち時間各13時間)であった。それまでの「一人一世名人制」の最後の名人、十三世名人・関根金次郎が引退するとともに、一大事業として実力制名人制がスタート。第一期名人には、この「八段特別リーグ戦」の最高得点者・木村義雄がなった。ちなみにこのまま十四世が木村義雄。十五世が大山康晴、十六世が中原誠、十七世が谷川浩司で、このたび森内俊之が十八世名人となったわけである。 今日からこの「八段特別リーグ戦」の観戦記(「将棋名人戦全集」第一巻)を読みながら棋譜を並べている。シリコンバレーから昭和十年の日本にタイムスリップしたよ
週一回三ヶ月の毎日新聞夕刊コラムを引き受けたのは、じつは何を書いてもいいと言われたので、どこかで将棋の話を一回書きたいと思ったからである。 第九回の「将棋の魅力」 http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20061212/p2 がそれである。新聞の夕刊を誰が読んでいるかといえば、本欄読者はほとんど読んでいないだろう。僕が新聞の夕刊にこの話を書くことでメッセージを届けたいと考えた対象読者は、新聞社の将棋担当者と、棋士や観戦記者といった将棋関係者だった。 新聞関係者は競争相手の新聞も含めて新聞をよく読んでいるし、将棋関係者も新聞社がスポンサーだから、普通の人よりも新聞を読んでいる。将棋の話を第三者が書くなんてめったにないから、まぁ狭い世界で少しは話題になるかもしれないと思ったのだ。 プロ棋士も最近はブログを書くようになっていて(主だったところはこのRSSリーダーht
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