それで、思い出したことがあった。これも、どこかに書いた話ではあるけど。 井上ひさしの「本の枕草子」に、「世界に一冊しかない本」というエッセイがある。井上は、10年間の間、広辞苑にメモを書き続け、その結果、その広辞苑が世界に一冊しかないものになったということである。たとえば、広辞苑の「きず」という項に、井上ひさしは以下のように書き込んでいるという: たとえば、(注: 広辞苑の) 531ページの「きず」という項目を見てみよう。世の中に氾濫する広辞苑には、 きず 〔傷・疵・瑕〕 1.切ったり売ったりして膚や肉の損ずること。またその箇所。けが。2.(以下略) としか記載がないが、わたし(注: 井上ひさし)のは違う、さらに次の如き説明が付記されているのだ。 瑕 (宝石の場合にこの字を用いる) 疵 (物の表面にあって)(以下略) 「世界に一冊しかない本」(井上ひさし)上の note にも書いたように