その心は? どちらも、なぜか行為の実感が伴わない。 iPadを購入してから数日、既に何冊ぶんかの本を読んでいる。読み耽っているといってもいいくらいなのだが――電子書籍の便利さ、手軽さ、素晴らしさに感激する一方で、予想どおりある種のむなしさもまたそこには付きまとうことをも実感している。 というか、そこにあるものはむしろ「実感の欠如」である。ある一冊の本を読み終えたとき感じる、あの満足感、充足感、あれはやはり電子書籍では感じることができないもののようだ。 電子書籍は紙の本に比べてはるかに手軽で、入手も管理も楽で、そのうえその文字は美しく読みやすくすらあるのだが――しかしどういうわけか電子書籍での読書はむなしい。すべてがむなしいというわけではないが、ある種のむなしさが付きまとう。 内容がノンフィクションならまだしも、電子媒体で小説を読むということには何ともいえない虚無感があるのである。電子書籍で