全国に約640校ある工業高校が再び「冬の時代」を迎えそうだ。最近4年間は景気回復や団塊世代が大量退職する「2007年問題」もあり、大手製造業が工業高校生の採用を大幅に増やしてきた。つい半年前まで優秀な卒業生を「金の卵」として囲い込んでいたが、突然の景気失速で景色が様変わりした。 高い水準の教育費も標的に 文部科学省の最近の調査では、工業高校の卒業予定者で71人もの内定取り消しが出ている。全国工業高等学校長協会の毛利昭事務局長は、「内定を取り消したのは大手製造業の下請け企業が多い。今回の71人は工業高校の地元のネットワークを生かして新たな就職先を確保できたが、今年からは非常に厳しくなる」という。1月30日からは、内定切りの状況などについて独自の調査に乗り出している。 工業高校への求人は、景気の指標になる。景気悪化で「どん底」だった2003年卒業者の求人倍率は3.1倍だったが、2008年3月卒