国の諫早湾干拓事業(長崎県)をめぐり、干拓地の営農者らが国に潮受け堤防の排水門の開門差し止めを求めた訴訟で、長崎地裁の松葉佐(まつばさ)隆之裁判長(武田瑞佳(みか)裁判長代読)は17日、国に開門しないよう命じる判決を言い渡した。開門した場合、塩害などで営農に被害が出る可能性が高いと判断した。 裁判は、開門を命じた2010年の福岡高裁判決を国が受け入れたことに反発した営農者らが、11年に起こした。営農者らは裁判と並んで仮処分を申し立て、地裁は13年に開門を差し止める仮処分を決定。判決は仮処分決定に続いて営農者らの主張を認めるもので、通常の裁判で開門差し止めを命じる判断は今回が初めて。国は引き続き、開門と開門禁止の相反する義務を負う。 営農者らは、開門すると堤防の内側にある調整池に海水が入って農業用水として使えなくなり、農地に海水がしみこむ塩害が生じると訴えた。一方、高裁判決で開門義務を負う国