2017年9月8日 元国立国会図書館 専門調査員・電子情報部長 同志社大学大学院総合政策科学研究科 嘱託講師 中山正樹 1. はじめに 1980年代後半に検討が開始された電子図書館事業は、1990年前半に策定された電子図書館関連の構想において「地球規模の知的財産を誰でも容易に利用できるようにする」という目標を掲げると同時に、1990年代中旬に我が国で最初の実用化実証システムとして、「ネットワーク環境における情報と文献の利用のための高度検索システム(Ariadne)」(京都大学)(*1)、パイロット電子図書館実証実験プロジェクト(国立国会図書館(NDL))での実用化実証実験(*2)が行われた。国の動きでは、2003年には、e-Japan重点計画2003、e-JAPAN戦略Ⅱ加速化パッケージ、(内閣官房IT戦略本部)において、「国のデジタルアーカイブ構想」、「ジャパンウェブアーカイブ構想」の実