文明開化という言葉はかなり古めかしいが、2005年11月11日東京国立博物館(以下、東博)の100名ほどで一杯の小講堂で開かれた公開研究会は、明治初期の近代化を髣髴とさせるような、静かな熱気がこもっていた。 明治5(1872)年、翌年にはウィーン万国博覧会の参加を控え、日本で最初の博覧会が東博で開かれたという。以来130年余、東博は、その時代の施策とともに幾多の変遷を経て、恒久的な展示を行なう博物館として、美術博物館の性格を強めながら、日本のミュージアムを先導してきた。 この日、東博の博物館情報処理に関する調査研究プロジェクトチーム作成による「ミュージアム資料情報構造化モデル」(以下、モデル)の草案が一部の専門家だけでなく、関心のある一般も参加できるよう門戸が開かれ、公開研究会のかたちで公開された。 資料情報システムを開発する基盤として、また資料情報共有のためのデータ形式を開発する基盤とし