書籍やテレビ、インターネットなどさまざまな分野で使われる「書体」を130種類以上 生み出してきたヒットメーカー・藤田。世界的PCメーカーがその書体を標準装備し、業界で大きな話題となった。藤田の文字は美しくも独特な“異端の文字”と評される。 藤田は文字を作る際、まずは自らも「やり過ぎか」と思うような奇抜な文字デザインで突き進めていく。書体開発は修正を重ねる中で徐々に控えめなデザインに抑まっていく傾向がある。そのため最初に「いかに振り切るか」がカギだと藤田は言う。制約や既成概念にとらわれず、そして批判を恐れてはいけない。まずは自らがほれ込んだデザインに振り切っていくという姿勢こそが、美しくも“異端”と呼ばれる個性的な文字を生むと藤田は考える。 藤田は新たな書体をデザインするとき、多くの文字を「人」や「生き物」に見立てながら考える。「さ」は猿の顔、「ゆ」は脚を斜めに投げ出して座る女性、といった具