厚生労働省は8日、8月分の毎月勤労統計調査(速報)を公表した。物価変動を加味した実質賃金は、前年同月より0・6%減った。6月分で27カ月ぶりにプラスとなっていたが、わずか2カ月で下落に転じ、3カ月ぶりのマイナスとなった。6、7月分の引き上げ要因だった夏のボーナスによる後押しがなくなったためだ。 実質賃金は5月分まで26カ月連続でマイナスで、比較可能な1991年以降過去最長を記録。賃金の伸びが物価の上昇に追いつかない状況が続いていた。ボーナスの影響でプラスに転じたものの、長くは続かなかった。 名目賃金にあたる8月分の現金給与総額は、前年同月比3・0%増の29万6588円。32カ月連続で前年を上回った。原材料費の高騰や円安の影響で、食料品や日用品の価格が高止まりする状況に変化はなく、消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は同3・5%上昇している。 現金給与総額のうち、基本給を中心とした所