クリスマス、いつもよりうんとお金をかけたホテルでディナー。 夜景が見える一番いい席。きっと半年かそれ以上前に予約しないと、取れないだろう。 次はいよいよデザート、のときに。「結婚しよう」の言葉。 小さな箱を取り出す。ダイヤの指輪。 照明に当たってキラッキラに輝いている。 固まる私。店内BGMがやけに大きく聞こえる。 何か返事しないと。 スタッフの一人がこっちを見ている。 ダイヤが光り輝いている。 まぶしくて見れない。 彼が私を覗き込む。 ふいに不安そうな顔を見せられ、困る。 1分半の沈黙を破る。 「うん、ありがとう。よろしくね」 言っちゃった。言っちゃったよ。 彼の顔がパッとほころぶ。 それから、指輪をはめてもらって、刻印どうするか話して ハッピーウェディングとかなんとか書かれたケーキを食べて スタッフさんに「おめでとうございます!」なんて言われて あとは覚えていない。 その夜はとても苦し